『じゃあ…………またな。』
『うん。
また、絶対に皆で会おうね。』
と、お互い背を向けた。
『……しょ……翔ちゃん!!』
『うん?』
ニノの声に振り向くと
『……いや。……
…元気で…………。』
ニノが、何か言いたそうに
俺を引き止めたけど
結局、何も言わずに帰っていった。
「俺のせいだ………」
と、ニノに言った。
3年の間、監禁されていた智。
解放されてからの様子を
俺は、言葉を詰まらせながら
ニノに話して聞かせた。
怯えた目で「来るな。見るな。」と泣いていた智。
「おいらは、汚い。」
「おいらは、みんなと違う。」
「おいらは、普通じゃない。」
と言って、死にたがっていたことを…………
俺の話を、ただ黙って流れる涙もそのままに
ニノは聞いていた。
「多分、そうだったんだろうなって思ってた。
だから、俺たちに会いたくなくて
黙って転院したんだろうなって……」
と、ニノが言う。
ニノも感じていたんだ。
"もし、自分が同じ立場だったら………"
って、考えたこともあると言った。
「…………生きる意味と
希望が……………智には……
必要だった。」
と、俺が言う。
「最後に会った智は笑ってた。
あの時には、
もう死ぬ事なんて考えてはいなかったよね。」
「あの時…………
智を追いかけて行った俺は……………
智を繋ぎ止めるのに必死で……………
智に生きている実感と意味を教えたくて………
智を………………抱いた。」
その言葉に驚くかと思ったのに
ニノは黙って俺を見ていた。
「あれは、今思うと
俺が自分の欲望を果たしただけ
だったのかもしれない……
でも、あの時は
"智を繋ぎ止める唯一の方法"って、思ってた。」
「………だったと………思うよ」
と、ニノは俺の行動を否定しなかった。
「……………生きているなら……………」
俺が、ボソッと呟く。
「生きているなら?」
と、ニノが繰り返す。
「生きていてくれるなら…………
運命の人ならば……………
………必ず会える。
って、言った人がいた。
神様が時を見計らっているって…………」
その言葉に
「…………………
だといいな。」
と、ニノは言った。
それから言葉少なにグラスのアルコールを飲み干して別れた。
次の日、俺は田子先生に会いに行く。