『なあ……
さっきのって…………あれだろ。』(安田)
と、安田と横山が俺の後ろで話してる。
駅前で、若い男の子が
俺に見せてくれたビラの話だ。
『そうそう去年の………子だろ…』(横山)
『生きてると思うか?』(安田)
『…う~ん……………無理………じゃね。』(横山)
『……だよな。
かわいそうだよな。
超可愛い顔してんのに。』(安田)
『わかる~
ほら。見てみ。』(村上)
と、村上も加わって騒ぎだした。
なに?
生きてるとか死んでるとか
なんて物騒な話をしてるんだ?
それにしても…………
俺は、地元のはずなのに
今いち、意味がわからない。
去年の話なのに…………なんで?
「何かが…………変だ。」
って思った。
『なんで?
お前たち、さっきのビラの話知ってるの?』
と、俺は振り向いて尋ねてみた。
『はああ?
なに言ってるの?
櫻井の方が知ってることだろ?
去年の今頃、大パニックになってただろう。
俺らと同じ中3の男の子が
花火大会の帰り道
行方不明になった話』(横山)
『え?
男の子が…………行方不明………』
『そうだよ。
それからすぐ、近くの公園の池で
バラバラ死体が見つかって
一時は行方不明の男の子だって騒ぎになって……』(横山)
『でも、30代の中国人の女性で
犯人もすぐ捕まったんだよね。』(安田)
『でも、依然
男の子は今も見つかってないから
友人がビラを配って情報集めてるんだろ。』(横山)
『可哀想だよな。』(安田)
『ほら。
この子だよ。
大野智くん。』(村上)
と、俺の前にさっきほどのビラを差し出した。
俺は、あの時「わからない。」って
そのビラを受け取らなかったのに
村上がちゃっかり貰ってきていて
俺に見せてくれた。
太陽が眩しく反射していて
よく見えなかったビラには
「この人を探しています。」と、あって
イラストで彼の特徴が書いてあり
上の部分に彼の写真が載っていた。