智の背中を擦りながら
『母さんがね、智に会いたいって………
どうする?』
ゆっくり体を起こして
『うん。俺も会いたい。
翔君を産んでくれた人に会いたい。
翔君を育ててくれた人に会って…………
ちゃんと……………謝りたい。』
『なんで謝るの?』
『だって………俺が…………
翔を好きになったから…………』
『何言ってるの。
それを言ったらお互い様でしょ。
俺は、智を愛してるんだから』
俺は、智の左手を取って
薬指の指輪にチュッってくちづけた。
智の腕が俺の首に回されて
俺達はキスをした。
『…えっと………ごほん…………
…………ただいま。』
突然、潤の声に驚いて唇が放れた。
リビングの入口に立っている潤。
『あっ…………潤。
お、おかえり………』
焦って二人で体を放した。
『今さら、二人のラブシーン見たところで
驚きもしませんよ。
一応、帰ってきたから…………
俺に気にせず続けて………んじゃあ…………』
と、顔を引っ込めた。
『あっ。待って………
ご飯、まだでしょ。』
『あっ…………うん。』
『用意してあるから食べよ。
今、温めるから………ね。』
と、智がキッチンに向かって行く。
『潤に、話もあるから………』
と、俺が言う。
潤が美味しそうにご飯を口に運ぶ。
俺は、その向に座って
智が俺の隣りに座った。
『今日、電話サンキューなっ。
あの時丁度、母さんがいたんだよ。』
と、俺が言った。
『え!!
大丈夫だったの?』
一瞬、茶碗を落としそうになった。
『ああ。
母さん、俺に見合い話を持ってきたんだ。』
『そうか。
で、断ったんでしょ。』
『うん。
断って、
俺達のこと話した。』
『え?
俺達………って
翔さんと智の事?』
『そう。』
俺が、頷いた。
『え?付き合ってるって?』
『そう。』
『うそ。反対されただろ。
いいのかよ。それで………』
潤が焦って声をあらげた。
『フフッ………
そう思うよね。』
と、嬉しそうに微笑んでる智。
『でも、………許してくれた。』
と、俺が、潤を真っ直ぐ見つめた答えた。
『うっそ。
マジで………なんで?』
そりゃあ驚くよね。
信じられなくて当たり前だと思う。
俺だって………そうだったから………
『…………俺が、死ぬほど智を好きだったことを
知ってたんだよ。
……………………
母親ってスゲーよな。』
『死ぬほどって……なに?』
智が気になったのか俺に聞いてきた。
『あー…………そうだね。
……もう、薄くなってるけど…………』
俺は左手首にある傷痕を見せた。
『これ………って………』
と、智が俺の手を取って
悲しそうに傷痕を見てるから
隠していた事を話始めた。
『……………智に送った最後の手紙が返ってきた時
もう、智がこの世に居ないんだと思って
智の後を追って死のうとしたんだ。』
智の手に力が入った。
その手をそっと放して
傷痕を見詰めて
『ここを切って…………
流れる血を見ながら………
智はもっと、いっぱい血を流したんだろうか……
苦しかっただろうか……
痛かっただろうか………
って………思っていた………』
俺の話を聞いて、智が泣いていた。
『俺、絶望してたんだよ。
結局、母さんに見つかって…………病院送り………
…………母さんは気付いていたんだよ。
俺が智を好きなんだって。
その時から、母さんは俺を見守ってたんだ。
だから………
俺が智と会えて喜んでくれた。』
『マジかよ。
よかったじゃん。』
と、喜ぶ潤と
黙って涙ぐむ智…………
『ごちそうさまでした。
俺、上に行くから…………
後は、ご自由にどうぞ………』
って、潤が気をきかせたのか出ていった。