『あんたの従弟って
二宮和也って言うの?』
昼休みに進路指導室に行くと
櫻井が弁当食べながら待っていた。
『おー。わかったか?』
『ああ。同じクラスだった。』
櫻井の前に座って答えた。
『で、あいつ大丈夫なん?』
『なにが?』
『あいつクラスで浮いてるぞ。』
そうなんだよ。
あいつは誰とも話さず
ずーっと下をむいてるんだよね。
『マジか…………』
と、頭を抱えた。
『あいつん家、
先日、親が離婚してな。
一旦、母親の方に行ってたんだけど
戻って俺の実家で暮らしてるんだよ。
親の都合で子供を振り回すなってかんじだよな。
同じクラスなら友達になってやってくれよ。』
『…………わからねー。
俺なんかからしたら
生きてるだけでも嬉しいけどな。』
そうだよ。
親がいるってだけでもいいよ。
『……………寂しくなかったか?』
と、櫻井が俺に聞いてきた。
『う~ん。
俺には、智がいてくれたからなあ…………
智が大変だったと思うよ。
体調もあっただろうし………』
『体調………?』
『………いや………
兎に角、俺が寂しがらないようにって
智がよく、俺を膝に乗せて物語を作ってくれた。
今じゃそれが仕事になってるけどな。
って、そんな話のために来たわけじゃなーし』
一瞬、子供の頃の切なく
それでも楽しかった記憶が蘇った。
あの頃から俺には智しかいなかった。
智しかいらなかった。
だから、今さら誰にも渡さないから………
『…………そうだな。
お前は智のどんな秘密を知ってるんだ。』
『俺、智にキスをしてやったぞ。
あんたと違って起きてる智にな。』