もう11時をとっくに回っているこの時間に
いったい誰が訪れると言うのだろう。
この場所を知っているのはマネージャーだけのはず
マネージャーが俺の荷物を届けに来たのか?
そーっとドアスコープを覗いてみた。
『!!』
あまりの驚きに俺は後退りをした。
………………翔……くん…………
どうしようどうしようどうしよう……………
頭が真っ白になった。
居留守使うか……………
この記者がウロウロしてる状況で
俺が出歩くはずがないよな………
酒のんで寝たことにしようか。
俺は寝ると起きないから…………
……………
……………無理だ。
どうしたって無理だよ。
覚悟を決めてドアを開いた。
『はい。
智くんの当面必要な物だけ用意したから』
と、翔くんが俺に鞄を渡してくれた。
『あ、…………ありがとう。
忙しいのに…………ごめん。』
俺が鞄を受けとる………
翔くんは中に入ろうとせずに
俺の顔を真っ直ぐに見るから
俺が後ろめたい気持ちでいっぱいだ
ニノがこのタイミングで出てきたらどうしよう………
翔くんがこのまま居座ったらどうしよう………
その事が心配で挙動不審だったと思う。
翔くんが徐に
『…………智くん…………
俺が何も知らないとでも思ってる?』
と言い出した。
『…?………なんの事?』
翔くんが………何を知ってるの?
一瞬、俺の顔色が変わったと思う。
それに気づいて
『………智が……
うんん………いいや。
帰るね。』
とドアを開けた。
『翔くん。』
俺が呼び止めると
顔を背けたまま
『俺さ、智が大好きだよ。
でもね。
智の体だけあればいい訳じゃないんだよ。
………あの記事もまんざらうそじゃないでしょ。』
と言ってドアが閉まった。
もしかして…………
翔くんは…………………知ってるの?
呆然と立ち尽くす俺の前に
きちんと服を着てニノが立っていた。
シャワー浴びた後なのにまるで帰るみたいに
『………ニノ………』
『……俺、帰るから。
………ちゃんと智には、翔さんがいるじゃない。
俺の事はもうほっとけよ。
なっ!
結局、ダメなんだよ。俺たち………』
ニノが、俺の前を通り過ぎようとしたから
ニノの手を掴んで引き寄せた。
『……無理だって………
もう辞める。智の事はもう忘れるから………離して……』
と俺の腕の中でもがく………
そんなニノを力付くで抱いた。
俺の優柔不断な態度が
大好きな人たちを傷付けて
俺は独りぼっちになるんだ。