ねえ。
あの時、君はどんな思いで笑ったんだろうね。
本当は不安と恐れでいっぱいだったろうに…。
無理して笑うあなたの事を、気付いてあげれてたら…。
俺の作った野菜炒めもどきを、
箸でつまみ上げては口に運んでいる智君。
「美味しい 美味しい」って。
たまに出てくる玉ねぎの塊や、キャベツの芯に笑いながら……。
でも、たまに突然、笑顔消える。
俺は不安になり静かに声をかけた。
『智君?』
って、
一瞬あなたの体が跳び跳ねる。
そんなに驚かなくてもいいのに……。
やっぱりどこかがおかしい。
かと言って、これ以上聞いたとしても頑固なあなたのこと話してはくれないだろう。
その話は明日、智君のマネージャーに問いただすのが一番の近道だよな。
俺はそう頷いて食器を片付け始めた。
『……翔くん。明日仕事何時から?』
食器を手に俺のあとについてくる智君。
『明日は、昼に雑誌の撮影があるから11時には出なきゃ。』
と、言いながら
腕捲りをして食器をさっさと洗い始めた。
『………そう……。
……えっと………………………
……………あのさ…………
…………ねえ………翔くん……
………暫く……
おいらんとこに………
来ないでもらえる………』
智君が言いにくそうに
もじもじしながら言うから
『はーあ?』
と、思いのほか大きい声が出た。
俺は何を言ってるのか理解出来なくて。
『俺がいると邪魔?』
ってことかと聞いてみる。
『あっ!!
違うよ!!!
ただ、ただ……。』
智くんは俯いて一生懸命に言葉を探している。
『………もしかして………』
『えっ?』
『創作意欲が湧いちゃった?』
と、助け舟をだす俺。
『あっ!
そうそう』
嘘だ。
明らかにうそついてる。
あなた何を隠してるの?
『わかった。』
俺は素直に智君の言葉を受け入れた。
あなたがホッとした顔をしたのを
俺は見逃さない。
すべては明日わかる。
明日になれば………
『そろそろ寝ようか。』
おれが促す。
『うん。』
『智くん、体調はどう?』
お風呂で低体温になって倒れたあなたを気にかけると。
『大丈夫だよ。
………。』
と返ってきて、俺にキスを落とした。
俺が温めてあげるよ。
俺は、智君の身体を力一杯抱きしめた。