Don't ask, Don't tell | Gaydar !

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HIV+です。ゲイです。それ以外の自分って...なあに?(笑)

3月3日にワシントンD.C.で施行された同性婚法。
実際に同性婚の登録がスタートしたのは3月10日で、全米各地からワシントンD.C.に同性カップルが押し寄せて、同性婚の登録会場であるHuman Rights Campaign(略称・HRC アメリカ最大のLGBTの人権擁護団体)は大変なにぎわいを見せたそうです。

ゲイコミュニティにとっては明るい話題であるはずのニュースの陰で、最近、HRCをめぐってこんなトラブルが発生しています。

発端は、3月18日にアメリカの元海兵隊将校であり、現在はLGBT活動家として知られているDaniel Choiさんが、ワシントンD.C.のホワイトハウスの門の前で自分の手首に手錠をかけ、自らの体を門にくくりつけるという事件。

Choiさんは2006-2007年までイラクに駐在し、アラビア語の通訳を務めた方。
1993年に成立したDADT(Don’t Ask ,Don’t Tell=「問わない代わりに 自分からも言うな」という、軍人が同性愛者であることを公言することを禁じる法律)ポリシーに反撥し、テレビ番組の中で自らのセクシャリティを公表、除隊処分を受けた経歴があります。
以後、Choiさんはさまざまなメディアを通じ、DADT撤廃を訴えかけてきました。
(同性愛者であることをカミングアウトして除隊になった兵士の数は、1994年から2009年までで約 13,500人。推定では 現在約6万5千人もの兵士が同性愛者と言われている。米軍の兵士数は約137万人という統計を考えると 全体の約 5 %...結構な数字になりますね)

一方、オバマ大統領はセクシャルマイノリティに対する擁護を明確に打ち出している人物。就任早々、ホワイトハウスのホームページで「LGBTコミュニティのためのサポート」の公約を立ち上げ、世間を驚かせました。

オバマ大統領にとってDADTの撤廃は、HIV陽性者の米国入国禁止撤廃(実施済)、現米国憲法を修正して国家レベルで同性婚を禁じようという勢力をいかに阻止するか、という課題とならぶ'オバマチェンジ'の大黒柱のひとつになっています。

実現への道のりは決して平坦ではありませんが、今年の1月末にはDADTの見直しに着手することを改めて発表し、米国国防総省(ペンタゴン)の統合参謀本部議長、Mike Mullen氏も大統領のDADT撤廃を支持する見解を示したばかり。
追い風が吹きつつある有利な状況であるにも関わらず、なぜDan Choiさんは、現在のこのタイミングで抗議行動を行ったのか?

Danさん、彼と共に抗議活動を行った同志のJim Pietrangelo II元将校の両名は逮捕され、一日だけ拘留されたあと保釈処分を受けました。

その後、DanさんはNewsweekのインタビューに応じ

「自分たちはHRCに裏切られた思いでいっぱいだ。
ゲイコミュニティの中にはエリートとして上流階級に与(くみ)しようとする人物がたくさんいて、コミュニティの中で内部分裂が起きている。
HRCの見解や行動は、かならずしも私たちの考え方を代表しているものではない」

と語りました。

「社会が同性婚を認めるかどうか」という問題は、「一般社会が広く同性愛者を受け入れるかどうか」ということと...必ずしもイコールではないように(個人的には)思っています。

たとえば、同性愛者に対し婚姻の権利やさまざまな社会的保障が与えられたとして、その’合法的カップル’が同性愛者だけのコミュニティで生活するのか、あるいは異性愛者を含むコミュニティで生活するのか、当事者である同性愛者たちにはある程度の選択が与えられているように思います。

ゲイバッシングやゲイフォビアの強い環境がイヤならわざわざ居を構える必要はないし、逆の意味で ’自分たちには関わりのない人たちだし、認めてあげてもいいんじゃない?‘という考えの異性愛者はいるはず。LGBTに関するさまざまなニュースが世界をかけめぐる現在、同性婚に一定の理解を示す人はむしろ増えてきているような気がするのです。

しかし、軍人のように…一定の閉ざされた環境の中で共同生活(寝起きや食事、プライベートを含めて)を余儀なくされる場合 まったく同じことが言えるのか、というと?

ある世論調査によれば、DADT撤廃に賛成を示す人は全体の3割にも満たず、7割近くが撤廃すべきではないと回答しているそうです。

たとえば、負傷した退役軍人は無料で病院での治療が受けられる特別な社会手当がもらえますが、ある回答者は「兵役中にHIV感染した兵士にも認めるのか?」という疑問を投げかけていました。また、軍が(子供のいない)独身の同性愛者や同性愛者のカップルに住居を提供する場合と、(子供のいる)異性愛者のカップルへ提供する場合とでどう条件を変えていくのか、ということに懐疑的な人たちもいます。
黙っていれば分からないことも 公にさらしてしまったら火種になってしまう、と積極的な改革を恐れる当事者たちもいることでしょうしね。

キリスト教原理主義者たちによって広められている同性愛否定の考えは、クリスチャンでない僕には今ひとつピンとこないのですが、簡単に片づけられない複雑な背景があることはまぎれもない事実なんでしょう。ただし、DADTの問題を解決することは同性婚よりさらにやっかいなプロセスが必要な気がしますし、真の解決までより長い時間が必要になるのでは?と思えてしまうのです。
社会がマイノリティを受け入れるということの’赤裸々なホンネ’は こちらのほうがより'勉強'の材料になるのかもしれないな。

異なる主義をもつ人たちが共存するために、どこからどこまでを理解しあい、認めあえるかという線を引くこと。それはたとえコミュニティの中にいようと 外にいようと 同じことなんだけど。

容易なことではないけど、少しづづでも前に進まなきゃね。

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自ら手錠をかけた Dan Choiさん(左)と仲間のメンバー