バスに乗って、
ぼ~っとしてたら、
なんと前の席のおっちゃんの
ポロシャツの襟のところに
蟻が。

え?蟻?

おもわず、目はそちらにくぎづけ。

蟻は、あまりきれいそうではない
白いポロシャツの上を
右に左に上に下にと動きまわり、
おっちゃんに気づかれないように
動いてる。

えーどうしよう。
言ったあげようかなぁ。
何も言わず払いのけたら、
それは、私が、
あやしまれるだけやしなぁ。

蟻やしなぁ。。
噛まれたら痛いしなぁ。

でも、言われても嫌かなぁ。

と、蟻を目で追いながら、
考えていると、
おっちゃんが鞄の中から
何かをとりだした。

ん?フォトアルバム?

のんきにそんなん
みてる場合ちゃうで。
蟻やで。蟻。
首から入ってきたら
痛いでー、かゆいでー。

え?桜井翔?嵐?

おっちゃん、そっち?

その歳で、それみるん?
何枚も入ってるやん。
めっちゃ、みてるやん。
めがねかけてるのに、
ちかづけすぎやで。

そりゃ、蟻ものぼるで。

いや、別にいい。
おっちゃんが嵐をすきでも、
桜井翔を好きでも別にいい。
そりゃ、好き好き。
好みの問題。

そうやって、自分を、納得させてたら、
蟻のことも、
なんか別にいいかなぁって。
そんな大したことない
気がしてきた。

私の心はやっと平静を取り戻し、
そこからは、他のことを考えながら、
目だけが、
おっちゃんの襟元の蟻を追っていた。

バスがついた。
おっちゃんは、
アルバムをかばんに入れて立ち上がる。
もちろん、蟻も、一緒だ。
目で蟻を、追っていた私もつられて
立ち上がる。

おっちゃんに続いてバスを
おりたが、
私は、もう一本別のバスに乗るので、
少し早歩きで、おっちゃんを抜かした。

追い越すときに
ちらっとおっちゃんをみた。

衝撃がはしった。


なんと、
おばちゃんやった。


なんか、いろいろごめん。
そんな気持ちだった。