2段ベッドの下に入り込んで、
頭から布団を
かぶっていたらしい。

おねーちゃんが、
帰宅したときの
息子の様子だ。

「どうしたん?」と聞くと、

「ぼくは漢字テストで実力が、
 出せなかった。」

と言って泣いていたらしい。

「10点」(1問正解)

(それはあかんやろ)
とおねーちゃんは思いながら、

「大丈夫。そんなことで、
 お母さんは、怒らんよ」と
 なぐさめたらしい。

が、私にゲームを取り上げられた。

翌日息子は、
ソファーでうたた寝。
ゲームがない以外は、
いつもの毎日。
いや、
いつもと違うこと三つ。


玄関の靴がきれいにそろえられ、

「そろえるぞ!」と貼り紙。

それから、
流しの食器がきれいに
洗ってある。

洗濯物も、
とりいれてある。

カツオ並みの
こんたんで、がんばったが、

ゲームはもどらず。
残念。

「ぼく、漢字テスト頑張る」
「ぼく、地図テスト頑張る」

二日後、

自力で、
がんばった漢字テストは、
90点

早起きして覚えた
地図のテストも90点

テストで失ったゲームは
テストで取り戻すに限る。

彼にとっての平穏が戻る。


が、ほどなくして
電話の声が半泣きだった。

「まだ岸和田におる。
 財布落としたから、帰れない。」

迎えに行った私に、
「もお、僕は、
 どこにも出かけない。
 テニスもやめる。」

逆ギレかよ。

ま、本人が
一番つらいのだろう。

夜道を何度も探して歩いたらしい。

ヤル気があるのに
ドンマイな感じ。

悪気はないのに
不注意な感じ。

がんばってるのに
やらかしてしまう。

めんどくさいこの個性に
つきあわされているのは、
私以上に本人だ。

たくさん失敗しながら、
学んでいってほしいものだ。