スリスリ少年 | さわやかな日々

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日常とファッションとたそがれと

今日、本屋に行きました。

京都駅の改札出てすぐ、地下に降りるとその本屋はあります。伊勢丹やショッピングエリアが周りにあるその本屋は、がらがらになることはありません。
今日もまあまあの人がたむろしており、「ち、ちょっとすいませんよ」てなそぶりをしながら雑誌を横からとり、後ろを通る人のカバンとケンカしながら本屋タイムを過ごしていました。


スリスリスリ・・・


来たんです。


スリスリスリ・・・


少年でした。


スリスリしています。


擬態語を使わずに説明すると、両膝を使い、本屋の狭い通路を、すり・・いや、ひざ歩きをしているではありませんか。

彼の目線は平積みされた本たちに一心に注がれています。通路が狭かろうが、人がまあまあいようが、関係ないと言わんばかりに。

小・・・4・・・ぐらいでしょうか。ものの分別はつく顔をしています。

しかもですよ

手にはなぜか

チョコバー

じゃありませんか

あのスニッカーズに代表される、おいしいお菓子です。

あれを持って、2スリ→チョコバー→2スリ・・・というローテーションを繰り返しているではありませんか。

もう片方の手はと言いますと

ばかでかい赤を持っています

リュックです

何がパンパンに入った

14型ブラウン管テレビぐらいある赤のリュックを

ずるずると引きずっています


なんなんだこの少年は


もちろんみなさんの視線は一瞬にして彼に、特に彼の膝あたりにそそがれます


彼は、ある本の前で止まり

チョコバー片手にそれを読み始めました

皆さんの視線も彼から徐々に離れます

とここで!

少年のもとに一人の大人が!
やべえぞ少年、注意される

本好きが高じてそんなスタイルになってしまったこと、お悔やみ申し上げるぜ。

でも、人が通れなかったりするしな、そんな移動手段だと

チョコバーで本汚れるかもしれんし

まあ仕方ねえ

泣くなよ、少年!


・・・




!?




大人は、赤リュックをしょいと持ちあげると、別のコーナーへ歩いて行きました。

少年も黙ってついていきます。





・・・オヤジ、いるんかい!!



その後この親子は、鉄道のコーナーに移動し、黙々と、一言も言葉を交わさず、各々に鉄道雑誌を読んでいました。



しばらくすると、少年は鉄道のコーナーに飽きたのか

またコーナーを変えました

少年の消えたコーナーは、「旅行」


近くまで行ってみると、少年、「タビトモ 台湾」を読んでいる。

より近くまで行ってみると、「両替」のページを見ていた。


鉄道・・・台湾・・・カネ・・・言葉を発さない・・・


難民なのか


いやないか。


その後少年は父のもとへ戻り

再び鉄道関係雑誌に目を通していました。

その間僕は

NHK特別取材班 HUMAN

という本をパラパラやっていると

横の方の鉄道コーナーから

以上に早い大小の影が動いていくさまを視界に捕らえました。


いかれた!!


二人のスピードは異常に早く

僕がワンテンポ遅れて外に出たときにはもうその姿はありませんでした。

出ていくときもたぶんなんも喋ってないよな・・・



僕は

あれは神の化身のような何かに近いのではないか

という推測を立てます。


ちょっと遅れた年初めのトレンド占いの神ではないかと。



スリスリ

鉄道

14型リュック

台湾

チョコバー


このあたりで2012年中に、ぴんとくるものがあったとき

僕は震えあがります。