祖母の遺灰は、海へ撒かれた。散骨は祖母の希望だったらしい。
祖父以外都合が合わなかったため、祖父一人で行った。
祖母がいなくなって、祖父はしばらく落ち込んでいた。話しかけても、祖母のことしか話をしない。
「おばあちゃんにはたくさんワガママを言った、たくさん困らせた、俺についてきてくれた、感謝しかない。」と何度も。
祖父にとって祖母の存在がどんなに大きかったのか知らされた。
私が大学生のとき、芸術祭で一番中の良かった友達と合同作品を展示した。
「二度と会えなくなった人と、もし再会出来るなら」というテーマで、登場人物4人からそれぞれの思い出を作り、再会できたシーンを描いた展示。
これには松坂桃李さん主演映画「ツナグ」から強く影響を受けていて、亡くなった祖母に私自身も心残りがあったから。
祖母が亡くなる前、また会いに来るねと言う意味で「ばいばい」と言った言葉が本当の別れの言葉になったこと、日頃の感謝の気持ちをちゃんと伝えられなかったこと。
そして、元気がない祖父に少しでも前を向いてほしいと願って取り組んだ。
事前に連絡していた祖父は芸術祭に来てくれた。
その時、展示を見た人が感想やコメントを自由に書けるノートを置いといた。
そのノートには、祖父のコメントがあった。
「人生をお前の感性で描いたもの、実に感動したよ。ばあ(祖母)のこと、心の奥に、思い染めてくれていて有難う。天国のばあもきっと喜んでくれると思う。お前の人生はこれからだから急がず、しっかりと大地に力を込めて歩んでほしい。新しい人生がこれから開けるから。」