暑い夏はなぜか懐かしい
白の開襟シャツにカンカン帽のオヤジさんや
花柄のワンピースに日傘をさしたおかみさんが
濃い影を落として歩いた夏もこんな暑さだったのか

高田渡さんにブラザー軒という歌がある
一番丁からちょっと路地に入ってすぐの処にあった西洋レストラン
さして特徴があるわけでも高級感があるわけでもなかったが
当時は西洋レストランがそう多くなかったから
ブラザー軒に行くというのはご馳走を食べる時という気分で
デパートの食堂で食事するとか屋上遊園地で遊ぶとか
それ以上の贅沢感があった
子供の頃ジイチャンによく連れて行ってもらった
中学生の頃には友達と入ってランチを食べて大人ぶってみたりした
氷水を食べたことはなかったと思うが
僕にとってブラザー軒は
七夕の吹き流しや祭りの賑わいと重なる夏の記憶だ



夏は扇子にかぎる
ジイチャンも好んで使っていた
覚えてはいないけれど
夏のブラザー軒でジイチャンは
扇子を手にして料理が来るのを待っていたのだろうな

今年の夏僕は火消しの後姿の絵柄を選んだ