
このアルバムが夏のイメージなのが不思議といえば不思議なことだ A面1曲目の「抱きしめたい」は雪に覆われた白い荒れ地を切り裂いて走る汽車ポッポに乗って恋人に会いに行く冬物語だ この曲にはアルバムの出来栄えに期待を持たせるだけのインパクトがあるし詞の世界も素晴らしい そして雪の色であるジャケット色調の「白」はメインコンセプトのように思われるのだ それなのにそれ以上にB面1曲目の「夏なんです」がイメージを引っ張っているのは不思議なことだ おまけにジャケットの白までが夏の白(たとえばシャツとかセイルとかカモメとか波とか)に思えてくるから不思議なことだ
1stアルバムは大滝作品が中心で中でも「春よ来い」「十二月の雨の日」「朝」は冬の情景で1stアルバムのイメージが冬なのは間違いないが さらに「しんしんしん」がそれをいっそう決定づけている気がする 細野作品の魔力というべきなのか
ジェームステイラー風メロディとギターワーク(と当時は感じたものだが今聴くと少し印象が違う)の「夏なんです」には松本隆の詩情も重なり心の原風景が増幅され情緒を深くくすぐられる 和製ロックの優れた曲が凝縮された名盤と言える中で夏を歌っているのはこの一曲だけなのに全体のイメージを左右してしまう おそるべし細野晴臣