僕は熱心な映画ファンではないけれど小学校低学年の頃から海辺の田舎町に一館だけあった映画館「みなと座」に潜り込んでスクリーンを眺めていた 子供だからまぁ無料だったんだろうけど小さいから改札の窓口に背が届かないので誰にも見咎められずに暗闇に紛れ込めたわけだ もちろんそんなワルをしてる自覚はまったくなく純真無垢の興味がさせた行動だった 時代がおおらかだから騒ぎ立てる大人もいなかったし学校に通報するような無粋もなかった 映画自体は大人向けのものばかりで小学校低学年児童にはチンプンカンプン しばし椅子にチョコマカと座り雰囲気を味わうと自主退去していた そんなわけでマドロス物とか股旅物のポスターや「豪華女優陣総出演」なんて言い回しにはしみじみとした郷愁を感じてしまうのだ いまはワーキングプアやら非正規社員やらと仕事にも行く末にも不安を抱く時代だけどあの頃だって安定生活には程遠い ♪住所不定無職低収入 の人達は少なくなかっただろうに 映画づくりに関わる群像の一人一人は決してリッチでもスマートでもなくむしろ無頼だったろうに でもそこには夢とか情熱とか愉快とかが無数に散らばっていたようだ 今と何が違っていたのだろう 
マキノ雅弘監督の特番を観ながらそんなことをとりとめなく考えていた