通りの店先に飾られた雛人形を見ていたら思い出したことがありました
  
町のアコーディオン弾きだった親父は 音楽好きの友人たちと楽団を組んで 祭りや宴会に呼ばれて演奏していたようでした 楽団はNHKのど自慢のバックバンドのような編成で 楽しみの少なかった当時の田舎町では 貴重な娯楽を演出してくれる若者集団だったのだと思います 白のスーツに固めた髪で気取った表情をした写真があります 芸能人のブロマイドを意識したようなアングル写真で その手の若者たちの流行だったのかもしれません 家の二階での練習には取り巻きが集まり それなりに人気もあったようでした 若い日の親父たちはきっと有頂天だったことでしょう そしてきっとプロのバンドマンいや職業楽団を夢見ていたと思います でも楽団に注いだ様々なものを 若者達は何かがあって捨てたようでした 何かが何なのかは想像するしかありませんが 若い日の僕らと似たようなことだったかもしれません 違う街で学生の僕が似たようなことを始めたのを聞いて何を思ったでしょうか アコーディオンをひく親父の記憶は幾つかありますが 雛祭の日にオモチャのピアノで アカリヲツケマショ と弾いた姿が何故か一番印象に残っています
  
その親父がなくなって十年が経ちました