静まり返る診察室。。緊張に押しつぶされそうになる私たち。
ずっと深刻なお顔をしたまま聴診器でジューくんの心臓の鼓動を
聞いていらしたDr.カーモディーが、私たちにこうおっしゃいました。
「心拍数がかなり低く、とても弱々しい。。心臓の
動きがだんだん遅くなってきている。。」と。。
「ジューくん、今苦しいの?どこか痛いの?」と私が聞くと、
「痛くはないでしょう。肺に水分が溜まっている音はしないし、
苦しくもないはず。ただ、今彼の心臓はゆっくりとゆっくりと
止まろうとしています。」
。。。。。。。
言葉が出なかった。。。。。
私は、とりあえず目を閉じ、深呼吸をした。
そして診察台の上の白いふわふわ毛布の上で穏やかなお顔で眠っている
ジューくんを見つめ、左手をお首の下に入れてジューくんを抱え、お顔を
近づけ、右手でジューくんの頭を撫でました。Dr.カーモディーはその間も
ずっとジューくんの鼓動を聞き続けておられました。
今まさに永遠の眠りにつこうとしているジューくんのその安らかな
お顔を見ていると、18年前に出会った時から今の今までのことが、
静かに蘇ってきました。
同時にジューくんも同じことを
想い出していたのかなぁ〜。。?
その時ハッキリ思ったんです。。
ジューくんは間違いなく幸せな子だった、と。。
パパも私も、みけるだって、ジューくんと
家族になれて、一緒に楽しい日々を過ごせて
本当に本当に幸せだった。。本当に。。。。
そんなふうに思いながらジューくんを眺めていると、
ジューくんの目頭の下あたりがヒクヒクし始めました。。
「あ。。」っと思った。。。ジューくんが行ってしまう。。と。。
一瞬そう感じたけれど、その時はまだ半信半疑だった私。。
「ここ、ヒクヒクしてる!」と言うと、引き続き黙ったまま鼓動を
聴き続けながら、「そろそろかもしれない。。」と呟くDr.カーモディー。。
そしてその直後くらいにジューくんが下痢を。。。
それを見て。。。。パパは泣いていた。。
まさにそれが、死の直前の症状のひとつである下痢でした。。
助手の方がジューくんのおしりをキレイにしてくださっている間も
私はジューくんを撫で続け、Dr.カーモディーは、
「心臓はさらにゆっくりになっている。。あと少しで止まるだろう。。
まだ鼓動が聞こえる。。今まだかすかに動いている。。」
と、その都度ジューくんの状況を細かく伝えてくださいました。
そして、「今、ゆっくりとゆっくりと、鼓動を打つ音が消えかけている。。」と。。
痙攣もなく、痛みや苦しみを感じている様子もなく、嘔吐している
わけでもなく、ただただいつものように穏やかなジューくんなのに?
ドクターの言っていることをわかっていながらも、目の前で起きている
とても信じがたいその光景に、まるで夢でも見ているかのような気分でした。。。
ただ、昨日から何も食べていないからとりあえず栄養点滴を
してもらおうと思って来ただけなのに。。って。。
「ジューくん?」と呼びかけると、前日からお口も動かせなくなっていた
ジューくんが、突然ハフハフと、2回お口を動かした。。
ジューくんの鼓動を聞いておられたDr.カーモディーが、
ジューくんのお顔を眺めながら、とても冷静に、
「もうすぐ行ってしまうわ。。」と。。。
そしてその後、向かい合わせになっている私のほうに来て、
ジューくんを支えている私の腕を両手でつかみ、しっかりと
目を見て、少し強い口調で、
「お別れの時がきたわ。。今、たくさん I love you!って言ってあげて!」
とおっしゃいました。。
Dr.カーモディーの強い眼差しとその言葉でようやく現実が把握できた
私の目から、滝のように涙が溢れ出した。。やっぱりそろそろってことを
頭では理解していて覚悟もしていたつもりだったけれど、今の今まで
ほとんど理解できていなかったんだ。。私。。。
もうすぐこの子がいなくなってしまう。。
すぐそこに迫り来る未来に、胸が張り裂けそうになった。。
そして涙と共に、上手に息ができなくなってきた。。
涙でジューくんのお顔が見えなくなるのが嫌だから、何度も何度も
右手で一生懸命涙をぬぐってはジューくんの頭を撫で、必死で自分の
呼吸を整えようとしながら、その最後の最後まで愛らしく優しい
ジューくんのお顔を見つめ、
「ジューくん、愛してるよ。。ずっとずっと大好きだよ!!
いつか絶対にまた家族になろう!!絶対に!!絶対だよっ!!
今まで一緒にいてくれてありがとう。。ジューくん、ありがとう。。」
その時パパがどうしていたのかはわからないけれど、
私の後ろですすり泣く声が聞こえていた。
そしてジューくんは私の腕の中で、最後にもう一度、
ハフハフとお口を動かした後。。
動かなくなった。。。。
ジューくんは行ってしまった。。。
私がもう会いに行けないくらい、遠い遠いところへ。。。
その後Dr.カーモディーは数分間聴診器でジューくんの鼓動が
再び動き出さないかを確認した後、
「鼓動は完全に止まりました。。心臓はもう動いていない。。」
と言いました。
「もう。。動かないの。。?ジューくん。。亡くなってしまったの?」
と聞くと、聴診器を外し。。。
「He's gone...(彼は行ってしまったわ。。)」と。。
午後2時25分、ジューくん、永眠。。
とても長く感じたけれど、2時過ぎに診察室に
案内されてからの事でした。。。。
涙がとめどなく溢れてきた。。ジューくんが私の願いどおり、
とても穏やかに、安らかに旅立てて本当によかった、という
気持ちもあった。でも、ジューくんはもう二度と。。と思うと
涙が止まらなかった。。。
「ありがとう、ジューくん、おやすみ、私のジューくん。。」
私は、ついさっきまでとなんら変わらぬ様子で眠っている
ジューくんに、何度も何度もそう言って撫で続けました。
ジューくん、本当に信じられないくらい安らかな最期でした。
しばらくジューくんのその穏やかな寝顔を眺めていた私たち。
そしてフと我に返り、
「早くジューくんをおうちに連れて帰ってあげたい!」と思い、
Dr.カーモディーにお礼を言うとハグしてくださり、ジューくんを
連れてチェックアウトカウンターへ向かうと、助手の方が走ってきて、
「今日の診察料はいらない。」と言いにきてくださいました。
お礼を言い、その後病院を出た私たちは、おうちへと急ぎました。
