我が家には、母の深部静脈血栓・肺塞栓と父の間質性肺炎を発見するきっかけとなった、ある小さな機械があります。
その名は、
パルスオキシメーターです。
病院に行くと見かけるあれです。
コロナ禍で一気に普及し、今では3,000円ほどで購入できる身近な存在となりましたが、昔は非常に高価な医療機器でした。我が家もコロナ禍の際に購入し、風邪っぽいときに測定する習慣をつけていました。
コロナが終わって、しばらくしたある日。
母が買い物からの帰り道、横断歩道を小走りで渡っている途中で胸に違和感を覚え、走れなくなったと息を切らせて戻ってきました。すぐにパルスオキシメーターを装着したところ、アラームが鳴り響き、表示された数値は88%。
「すぐ病院行って!」
ただごとではないと感じ、急いで探した呼吸器クリニックを受診すると、「これは大変。すぐに大きな病院へ行ってください」と言われ、紹介状を持ってそのまま総合病院へ向かうことになりました。
診断名は、深部静脈血栓・肺塞栓症(いわゆるエコノミー症候群)です。
母は日常的にしゃがみ込んで草取りをすることが多かったため、下肢の血流が滞って血栓ができてしまったのだと思います。もともとコレステロール値が高めだったことも影響していたのかもしれません。
パルスオキシメーターは、指先に挟むだけで、血液の中にどれくらい酸素が行き渡っているか(酸素飽和度)を数秒で測れる機械です。一般的に正常値は 96%〜99% とされています。
もしこの機械が自宅になかったら、もうちょっと様子みようとかになってたと思うし、それは一歩間違えると、母の命にかかわっていたと思います。
続いて父の話です。
母が退院してしばらくしてから、今度は父が日常的に息が上がるようになったので、息切れする際に測ったところ、92%くらいを示し、その後徐々に上がって、95~96%を示していました。
何か作業をしたり、ふんばったりしたときに、数値が下がって息切れがあるのは確かでした。
パルスオキシメーターの数値は96%あれば、正常な範囲ですが、父の場合少し心配が残る感じでした。
かかりつけ医は母と同じ呼吸器の医師だったんですが、レントゲン上、肺にうっすら白い部分があるにもかかわらず、「なんだろうね~」と言う感じだったことに父は不安を覚え、思い切って肺がんをはじめとする肺の呼吸器専門医のいる大きな病院への紹介状をお願いしました。
そこで診断されたのは、間質性肺炎です。
間質性肺炎は、私たちがよく知っている「普通の肺炎」とは少し違います。
普通の肺炎が菌などによる一時的な感染症なのに対して、間質性肺炎は肺を形作っている「壁の組織」自体が傷ついて硬くなってしまう病気です。肺が硬く縮んでしまうため、うまく空気を吸い込めなくなり、少し動いただけで息切れがしたり、乾いた咳が出たりするのが特徴です。
間質性肺炎を持病に持つ方が呼吸器感染症にかかると、命取りになる可能性もあります。
父はしばらく入院して、大量のプレドニン(ステロイド)による治療を受けて少し落ち着いたところで退院し、現在も治療を続けています。
プレドニンという薬の量をレントゲンをとりながら2週間に1度調整している状態です。
少なくとも、在宅酸素が必要なほど肺へのダメージがなかったのでまだ幸運でした。
父の不安を、パルスオキシメーターの数値が後押しして、今の肺の専門医に出会うきっかけになったし、日常動作でどのくらいの酸素飽和度を示しているかを客観的に医師に伝えることもできました。
『自分のいつもの値(例:98〜99%)』を知っておくことも大事だなと感じました。いつもより低いとすぐに異変に気づけるからです。ちなみに、手が冷えていたりマニキュアを塗っていたりすると上手く測れないことがあるので、そこだけ注意が必要です。
医師に対して「何となく息苦しい」と伝えるより、「家で測ったら92%まで下がることがある」と伝える方が何倍も説得力がある気がしています。もし具体的なデータを提示しても診察を濁されたり不安が残る対応をされたりする場合は、迷わずセカンドオピニオンを求め、別の医療機関を探すことをお勧めします。
そういうわけで、父も母も大事に至ることなく、持病と付き合いながら穏やかに元気に過ごせています。
今では体温計と同じくらい我が家の日常に溶け込んでいる、頼もしい小さな救世主のお話でした。

