今日は、どこのお店もクリスマス一色で、2週間前に知り合った2人を

祝福するかのように色んな場所で飾りつけがされている。

翔太と由香は、お互いが住んでいるちょうど間にある駅で待ち合わせた。

時間より早くきた翔太は由香にメールを打ちながら、タバコを吹かした。

由香から、もうすぐ着くよとメールがあり、雪の中、傘を指して待っていた。

数分後、寒さとうれしさで顔を赤らめた由香が翔太のとこまで小走りで走ってきて、

笑顔で向かいあった、それから翔太は行こうかと由香の横に立ち、

由香の冷たくなった左手を暖めていた右手で優しくにぎって街中へ歩いていった。

雑貨屋、ゲームセンター、洋服屋をブラブラ歩いて、

洋服屋で2人はお互い気にいったマフラーを買って、それぞれプレゼントした。

待ち合わせた駅まで戻り、二人は電車に乗って、翔太が住んでいる

町の駅まで一緒に電車に揺られた。

駅に到着し、予約していたお店にケーキとチキンを取りにいき、

食材を買い込んで翔太の自宅へ戻った。

翔太の家に初めて入る由香は、少し緊張気味の顔をしていたが、

きれいに片付けたれた部屋に関心し、周りを軽く見渡した。

質素な部屋だが綺麗に片付けられていて、居間にテーブルとTV

シングルのベットが置いてあった。

由香は翔太が持ってきた座布団にちょこんと座り、

翔太に「部屋が綺麗だね」と伝えた。

翔太は台所で「そう?」と答えながら、先ほど買ってきたジュース

をコップに入れて、由香が座っているテーブルに運んだ。

2人はジュースを飲みながら、大学での話しを楽しそうに話し込んで、

気がつくと7時を回っていた。

翔太が「お腹すいたね」と言って、買ってきた

クリスマスディナーを楽しむ事にした。

冷蔵庫に入れていたパーティセットとワインを出して、チキンを温めた。

翔太は由香のグラスと自分のグラスにワインを注ぎ、

「2人の初めてのクリスマスに乾杯!!」

そういって、2つのグラスが重なり合った。

夕方5時を過ぎ、翔太はカーテン越しにシンシンと降る雪を見て、

玄関先にある傘を手にとって駅へ急いだ。

電車に揺られ、集合場所の駅に到着した時には雪は止んでいた。

駅を出てすぐ前にある噴水の前で祐介と合流し、

歩いて女の子と待ち合わせているお店へ向かった。

20分ほど歩いて着いたお店の前には女の子が2人待っていた。

一人は背が高く少しつり目の女の子。

もう一人は、小柄で少しぽっちゃりした女の子。

祐介と少しつり目の奈美は、知り合いらしく、店前で笑顔で手を振り合った。

翔太と小柄な由香は、緊張のせいか、二人共うつむき加減であった。

祐介が

 「寒いから、早く中に入ろう」

挨拶もそこそこに、奈美は店の中に入っていった。

翔太と由香は、寒さで硬直した顔を何とか笑顔にして一緒にお店に入っていった。

お店に入って、向かい合って座った男2人と女2人は

山菜と鮭の前菜、真鯛のお刺身、蒜山牛のソテーなどの料理を堪能した。

ビールをみんなで1杯乾杯した後、祐介のお勧めで日本酒を注文した。

店のメニューには日本酒の銘柄が50種類くらい並んでいて、

枡に入った甘口、辛口、色々な種類の日本酒をみんなで回し飲みし、

日本酒を飲み始めて30分後には寒さで凍えきっていた体は、汗をかきはじめ、

4人の会話も弾んで、翔太と由香の顔も緊張から解き放たれて、普段の笑顔になっていた。

お店に入った時に7時を指していた時計の針は既に11時前を指しており、

お店の閉店と共に、みんなで外に出た。

外はお店に来た時には降っていなかった雪が深々と降っていて、

翔太は店先においていた傘を手に取った。

翔太以外の3人は傘を持ってきてないらしく、駅まで戻るのに悩んだが、

気持ちが高ぶっている祐介は歩いて行こうと言い出した。

翔太はしょうがないなと思いながら、開いていた傘を閉じ、

みんなと同じように雪を頭からかぶりながら歩いた。

不思議に思った由香は

 「なんで、翔太君、傘ささないの?」と聞いた。

 「だって、みんなが雪で濡れているのに自分だけ傘指してたら嫌じゃない?」と

 笑顔で翔太は答えた。

その瞬間、由香は翔太の右腕に両手で抱きついていた。

祐介と奈美は2人を冷やかしたが、

翔太は、笑顔で由香の髪についた粉雪を、やさしく掃ってあげた。

由香が翔太の腕に抱きついてから駅までの15分間、

2人は会話せずお互いの腕の温もりを感じながら、歩いた。

眠い目を擦りながら、翔太は紺碧色のカーテンをゆっくり開けた。

5階のベランダからマンションの傍を走る電車に薄っすら雪が積もっているのが見えた。

由香と会うのは、今日で3回目だ。

初めて会ったのは、2週間前の今日と同じ雪の降る土曜日だった。

翔太は、いつもと変わらず昼過ぎに起きて、家で過ごしていた。

ふと、時計代わりの携帯電話と見ると、大学の同じ研究室の祐介から着信履歴があった。

どうせ、他愛もない用事だと思い、翔太は近くのコンビニに出かけた。

遅めの朝ごはんを買い家に戻ると祐介から、電話がかかってきた。

翔太は面倒くさそうに電話に出て、

「はいはい?」

「おう翔太生きてたか?いい知らせだ」

「何がだよ?」

「今日、違う大学の女の子とコンパをする事になってな、人数が一人足らないんだ、

 おまえ来るか?」

・・・コンパ?2週間後のクリスマスも全く予定の無かった翔太は、

一瞬躊躇ったが、神様がくれたチャンスだと思い、

「行く行く。行きます、祐介様」



5分前まで、寝起きのテンションだった啓太だったが、

一瞬にして目が覚め、不安と期待に入り混じった表情になっていた。