呉春〈松村月渓〉(ごしゅん〈まつむらげっけい〉)
Goshun “ Gekkei Matsumura”
宝暦2年—文化8年
江戸時代中期に活躍した画家の巨匠。
四条派の始祖としても有名な人物であり、
「呉春」の号のほか「松村月渓」の名でも
世の中に広く知られています。
同じく江戸時代の巨匠・松村景文の兄。
最初、与謝蕪村に俳画・南画を学び
後に円山応挙との交流から
写生画を会得して自らの画風・流派を確立していきます。
円山応挙に対しては当初弟子入りを乞うも
応挙がこれを固辞し
共に友人として後世を過ごしたという逸話があります。
そんな呉春(松村月渓)が描いたとされる
扇面の鮎図です。
水の流れの中を三匹の鮎が泳いでいます。
涼しげな情景です。
落款部分です。
落款を比較してみます。
左右ともに参考資料です。
右側は集英社 刊「日本美術絵画全集 第二十二巻 応挙/呉春」から
左側は淡交社 刊「落款花押大辞典」から抜粋しています。
署名の筆跡は左右ともに似ています。
また印譜に関しては、左側のものと同一であると思われます。
鮎を描く軽やかで確かな筆使い
署名の筆跡や印譜の酷似などから
呉春(松村月渓)の筆であることを伺わせる作品です。