武井武雄 「ポストに待鬼」:木版画・蔵書票 | 野崎淳之介 『玉石混淆 美術館』 blogsite

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武井武雄(たけいたけお Takeo Takei
明治27年—昭和58年

大正から昭和にかけて活躍した童画家、版画家の巨匠です。
そんな武井武雄が制作した木版画の蔵書票です。

武井武雄は、子ども向けの絵を「童画」と称して芸術の域にまで高めた人ですが、
そんな童画の中に出てきそうな、いかにも武井キャラともいうべき可愛い鬼が描かれています。
いったいこの鬼は何を待っているのでしょうか?
青鬼からの手紙でしょうか? 仲の良い人間からの便りでしょうか?
そんな想像が掻立てられる作品です。

ちなみに「蔵書票」とは、本の裏表紙の見返し部分などに貼って、
その本の所有者を明記する紙片のことです。
大抵はラテン語で「EXLIBRIS」や本の所有者の名前が書かれるのが常であり、
この作品も「久保田愛書」とあることから、久保田氏に依頼されて制作され、
久保田氏の蔵書に貼られていたものなのですね。


この「ポストに待鬼」という木版画の蔵書票は、
「日本の書票」という図録書籍にも掲載されている有名作品で、
木版画特有の表面にかすかな凹凸もあり(機械印刷ではないということ)
武井武雄 木版画作品であることは間違いないでしょう!