母にほどこす治療はもうない。

あとはその日が来るまで出来るだけ痛まず楽しく過ごせるよう支えるしかない。


病院からは酸素ボンベと痛み止めの坐薬を持ち帰る



孫は1歳半を過ぎ活発に歩き出した。


母はひと部屋を歩くのがやっと。


この頃になると母の目つきが普段の優しい眼差しではなくなってきていた。

眼光が鋭く。

瞬きをしない。

常に凝視。

怖い目と言うか怯えた目?


いつも無邪気に母の傍らで遊んでいた長男も母に近寄りがたいのか側に行かなくなっていた。



ある日、おはようの挨拶をしに母の側に行き、直ぐに部屋から出てしまった長男を見て



「お母さん臭う?」

「ん?なんで?臭わないよ?」

「お母さんの側に来たかと思ったら変な顔して出て行ったから。。。」
「死が近い人って変な臭いがするらしいし。。」

「気にし過ぎよ。大丈夫だから」
「男の子だから元気が有り余ってるのよ。。。」



母の口から「死」と言う言葉が出たことに動揺してしまい気の利いた言葉が返せなかった。。。



母はもう気づいている。。。。