母は放射線治療の為入退院を繰り返していた
もう痛み止めが手放せない。
痛み止めの効きめは6時間
痛み止めを飲んでから薬が効き始めるのが2時間後。
薬を飲む間隔を間違えると、激痛に耐えなければならない。
アラームをセットして知らせしてもらう

間違えられない。。。
一度モルヒネを試してみましょうと言われ使った事がある。
私の記憶ではモルヒネを使ったのはその一度だけ、多分その後は使ってないと思う。
何故かはわからない。
担当医のいる日中にモルヒネを投与、何かあってもすぐ対応出来るようにとの事だった
あの時、母の様子は明らかに違っていた。。。
たしかに痛みを感じてない?。。。
でも。。。
母はそこに居ない。。。
母という物体は目の前にあるけれど、投与後すぐに時空を彷徨い始めてしまった。。。
瞳は虚ろ虚ろとして誰とも目が合わない。。。。
母の魂がここに居ないのが分かる。
それでも痛みが収まっている姿を見て私もホッとしたのか車イスでちょっとお散歩に誘ってみた。
ここは病院の広々としたロビー。
大きなガラス窓の向こうに緑が見えている。
休日の昼下がり、のんびりとした空気が漂っている。
ここには私と母しかいない。
虚ろな目で
あら?〇〇ちゃんが来てるみたい。
ホラ!あそこに!
……ヒデ?
ヒデも来てる。
いつも気にかけている従兄弟のヒデとその姉が見える……らしい。
歪んだ時空の中に向かって何かを話しかけている。
母はその中で生きている
言葉にならない言葉。。。、
文字にならない会話。。。。
私も母のその世界に入りたくて一生懸命話しかけてみたけど私の言葉は虚しく消えていく。。
私の声は聞こえていない。。。
母のその中に私は居ない。。。
ひとしきりタイムスリップを終えると、疲れきった母はうなだれるようにロビーの長椅子に横たわった。
ロビーで横たわるような人ではなかったのに。
常に気丈でハツラツとしていた母はこんな姿を見せたくなかったはず
寂しい
寂しくて泣いてしまった。。。
母を突然見失った迷い子の気持ち。。。