日曜日、昼近くまで寝てしまってはっと起きる。
「今日サッカーは?」
「今日は君とバイクで原宿に行って買い物をしようと思ってるんだ」
あぁ、嬉しいな… いろんなお店に行けるな… どんなカフェに行こうか…
夕飯はどこに行こうか… 時間がたっぷりあるな…。
そこではっと目が覚めた。なんでそんな夢を見たのかわからなかった。
ただその夢はこの上ないほどに
あたたかかく、柔らかく、幸せが満ちているような感じだった。
二人の、決してかなわなかった風景が、
そのちっぽけな夢の中にみんな、みんな入っていたのだった。
そして長い間見ていた悪い夢から、はっと覚めたようでもあった。
そうか、私は、本当は傷ついていたのか、
彼の予定を聞けずに約束ができなかったことや、
私との時間を優先してくれなかったことや。
今、夢の中でここちよい恋愛を味わい、そのことがはっきりとわかった。
あたたかく、柔らかく、幸せな恋がしたいんだ。
それがわかっただけでも本当によかった。
ほんとうは別のかたちでいっしょに過ごせたかもしれないのに、
どうしてだかうまくいかなかった。
二人だけで向き合うことができなかった。
この世の中にあの会いかたで出会ってしまったがゆえに
私とその人はどうやってもうまくいかなかった。
あの二人は夢の中でしか永遠に生きられない。
(&吉本ばなな)