サイレンが鳴り響いた。
バックミラーを確認すると赤いランプを回した車が追ってきていた。覆面パトカーだった。
しまった、と思いながらもしばらく無視を決め込んだ。
高速道路の追い越し車線を走っていたが、トラックがマイペースで前を走行していた。
しばらくそのペースに合わせていたが、視界が悪いこともあって、第二走行車線へ、更に第一走行車線へと移動した後、第二走行車線から追越し車線に戻っていた。
パトカーの助手席から左側に移るよう、手招きしているのが見えた。
路肩に移行せよ、パトカーが前方へ移り誘導していた。免許証を出して、腹をくくる準備を整えた。
女性警察官が近づいてパトカーに乗るように言ってきた。
男性の警察官は危険を回避するために、非常灯の準備をしていた。
パトカーに乗ると女性警察官へ免許証を渡した。
しばらくして、男性警察官が乗り込んでくるなり、違反の経緯を説明し始めた。
そして、決め台詞を語気を強めて言い放った。
「追い越し車線からの追越しは違反ですから」
こちらは即座に淡々として返答した。
「それは微妙ですよね」
そちらの交通違反の解釈との違いを説明した。
追い越したと解釈する一方で、こちらとしては自然の成り行きでの結果に過ぎない行為で、最初から追い越す意図はなかった。
結果として再度追越し車線に戻ったが、それは成り行きであって、追い越したと断定するのは微妙だと伝えた。
すると、男性警察官は少し間を置いたかと思うと、驚くほどの判断力を見せた。
今回は警告処分とします。
以後、気をつけるように。
決断が早いと思った。
相当出来る警察官なのだろう。
感心すると同時にほっとひと安心した。
粘るわけでも、ゴネたわけでもない、淡々とした表情で交通違反の解釈の違いを言ったに過ぎない。
これで、前回と同様に違反切符を回避することが出来た。
タイミングと出会った警察官に心より感謝を申し上げたい。