光彦の落書き１

彼女はカーディガンを羽織ると、金色の満月がのぞく窓辺にそっと腰を下ろした。少ない小遣いを貯めて買った赤ワインの栓を抜き、グラスに注ぐ。一日の中で唯一、誰にも邪魔されない時間だ。小さく見えるお城からは微かに楽器の音色や楽しそうな笑い声が聞こえてくる。家事や洗濯でひび割れた手を眺めながら、彼女は一つ大きなため息をついた。薄くかかった雲の向こうには無数の星たちが小さく輝いている。眼下に広がる湖はその全てを逆さまに映し出し、彼女の住む世界とあの人の住む遠い世界を隔てる大きな鏡のようであった。
彼女はグラスを置くと姿見の前に立った。継ぎ接ぎだらけのエプロンの下にはお世辞にも綺麗とは言えない、多分青色であろうワンピース。背中で一つに束ねた髪も心なしか疲れているように思えた。
「せめて一晩だけでも…」
彼女はそうつぶやくとグラスのワインを一気に飲み干した。そしてまた一つ大きなため息をついた。
彼女は目を閉じて微かに聞こえてくる音色たちに身を委ねながら、やがてうつらうつらと夢の世界へ堕ちていくのだった。

２nd.album Clotho?より
幻想tripという曲をモチーフにちょぃちょいっと書きおろしてみました
ジャケットをみながら読んでも面白いと思います
ホームページからアルバム購入出来ます


文才は父親譲りです

詳しくは
村上政彦で検索


次回をお楽しみに



【幻想trip】

遠い遠い 世界 触れ得ない
愛しい 愛しい 貴方の世界
光るダイア
真珠のネックレス

高貴なドレスも買えないの
グラスのワインと流し込む
見ていますか？
月が綺麗だわ

解けない魔法を掛けて眠らせて壊れる前に
ホントの話しはキライ
貴方は私を愛す 心が舞う 酔いも回る
絡まる視線 魅せるeyes
心が舞う 酔いも回る
Dance Sing through the night
raise your hands up
Dance Sing through the night
raise your hands on me

冷たい視線はice
優しく貫くknife
消えない魔法を掛けて遠ざけて幻想trip
飛べない蝶々はキライ
貴方に渡すは愛 運命と知りながら求める
衝動制御不能の合図



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