介護の現場って、壮絶ですよね。
あ、先日より報道されている介護施設における殺人事件の話ですけども。
亡くなられた方、ご遺族の皆様には、お悔やみを申し上げるほかないのですが…。
でもこれが、現場を考え直すきっかけになるのではないかと思ったりもしています。
ほんと【介護】ってのは、壮絶で想像を絶する。
亡くなったアタシの祖母は認知症で。
日に日にいろんなことがわからなくなっていく。
自分のことを思い出してもらえないとか。
祖母になってからの記憶や、母になってからの記憶などがとびとびになっていく。
これは、家族としてはかなりつらかったです。
でも、それよりもつらいのは、昼も夜も関係なく暴れたり、徘徊したり、トイレを失敗したり…。
やってることは生まれたての赤ん坊と同じなのですが、サイズが違いすぎる…。
何をするにしてもひょいと抱えてってわけにはいきません。
祖母は小柄なほうでしたがそれでも大人です。
また、言葉が悪い。
言い方は良くないですけど、こっちにしてみれば「やってあげてる」のにもかかわらず、悪口雑言…。
それは、家族だからしんどいのかもしれないし、家族だから許せることもあるかもしれません。
でもこれが老々介護なら?
一人で一人を見ていたら?
一人で複数人を見ることになったら?
耐えられないかもしれない、と思いました。
と、偉そうに書いていますが、実際に一番がんばったのは母です。
遠く離れた場所に住む実の両親の元へも週に3度は足を運び、あれこれ世話を焼き。
自宅に戻れば義母のお世話。
その頃、アタシにとっての祖父、母にとっての義父も、心筋梗塞後で、体が動かしづらい状態になっていました。
その義父のお世話もしつつ。
さらに家族の家事…。
母以外のみんなもできる限り協力はしていましたが、働いている人間は、家にいる時間が短いので、やはり母への負担が大きかったです。
母のことは本当にすごい人だと思っています。
もちろん、父もがんばっていました。
祖母や祖父を入浴させたり、何かにつけて外に連れ出したりしていたのは父です。
少しでも何かを思い出せないか、少しでも体を自分で動かせるようにならないか。
そういう期待を持って、もちろん、自分の親だから、と言うのもあると思いますが、頑張っていました。
そんな二人を見ておきながら、こんなことを言うのは本当にひどい娘かもしれないのですが。
がんばっていても、報われない…。
それが【介護】なんだな、と思っています。
赤ちゃんなら、いつかは大きくなって、自分の事も少しずつできるようになる希望が持てます。
しかし、介護は、希望がない。
回復する見込み、成長する見込みが、ないんです。
そして終わりが見えない…。
もちろん、本当にごくまれに、いつも悪態をついている祖母が
「ありがとねぇ」
と涙を浮かべながら言ってくれたり、
楽しそうに歌を歌ったりしている姿を見ることはありました。
でもそんなの一瞬で。
その一瞬が、次にいつあるかなんてわからない。
光の差し込まない悲しく、切ない洞くつに迷い込んでしまったような感じです。
もちろん、これは、アタシが実体験で感じたことであって、世のすべての介護に携わっている人がそんな風に思っているわけではないと思います。
希望を信じて過ごしている人だっているでしょうし、回復の見込みがある場合だってあるんだろうと思います。
もし、この記事を読んで、ご気分を害されたなら、申し訳なく思います。
あくまでも、アタシの思い、ということでご理解いただければと思います。
しかしながら、今回の事件においては、「仕事」として請け負っているからには、やはり責任を果たさなければいけないと思うのです。
被疑者の心構えが未熟だったのかもしれないし、勤務環境がハードすぎたのかもしれない。
実際、旦那の母は介護職員をされているのですが、盆も正月もない状態でお仕事されてます。
2泊3日くらいで止まりに行っていても、日勤の日もあれば、夜勤の日もあって、スケジュールだけでも大変だな、と思います。
でも、お仕事の愚痴を言われることは一切ないので、アタシ的には「プロだなぁ」と思うのです。
もちろん、アタシたちがあってる時間なんて短い物なので、それ以外で愚痴ってるかもしれないですけどね。
でも10年来のお付き合いがあって、一度も聞いたことがないので、そういうことなんじゃないかなーと思ってます。
また、近年の規制緩和で、介護事業に新規参入した会社で、人事部にいる友人がいるのですが。
「大変」
と言ってました。
この人は人事部とはいえ、人手がない時には現場に行って鉄だったりもするそうで、やはり現場は想像を絶する、と言ってました。
今回の件に関しても、
「正直、気持ちは分かる」
と…。
義母と、友人の差を考えると、職場環境もあるとは思いますが、やっぱりこれまでの人生経験値かな、と思うのです。
単純な年齢差ではなくて。
感情の起伏を抑えることができるスキルや、しんどかったことを流せるスキル。
そういったものが、経験の中で培われているかどうかなんじゃないかと。
でもその経験値を稼いでもらいたい若い人材が、続かないのが介護の現場なんですよね…。
理由はいろいろあると思いますけど、仕事がハードで、給料が安い。
仕事がハードなのは介護を欲する人に対して、働く人が少ないから。
何で働く人が少ないかって言うと、仕事がハードな割に給料が安いから。
もうこんなの、ずーっと前から言われてる事なのに、なんで変わらないんだろう。
待遇がいい会社もあって、悪い会社もあるって事もあるのかもしれないけど。
全体的な待遇アップをしないと、こういう事件てこれからも起きそうな気がする。
あとさ。
やっぱ、何度も言うけど、次世代の子どもたちがいないと、もう何もかもが成り立たないよね…。
健康で、ばしばし働ける人材があってこそ、世の中回っていくんだと思うのだけど…。
フルタイムで働いてるから保育園に優先で入れるとか、3人目だから手当が増えるとか…。
そういうんじゃないよね?!?!
せめて18歳までは、それぞれの子どもについて公立の幼稚園や学校でかかるお金と、病気したときのお金は国が負担するくらいの勢いでいいんじゃないの?
財源どうするの?って言われるかもしれないけど、ちらっと検索してみたら、国会議員全体への年間で支払われる報酬は約465億円なんですって。
もちろん、全部税金。
それだけあったらどんだけの子どもが救われるか…。
また、人口に対して、アメリカと比べると、日本は3倍議員が多いという話も同じサイトに書いてあったけども。
それならせめて、3分の1にしたらどうよ。
その人たちがもらってた3分の2の給料(約300億?)が世の中に回るとなればずいぶんちがうんじゃないのとか思ってしまうけどなぁ。
なんて、好き勝手書いてますけど。
仕事で介護職につきたいって人が増えるように、どこかに希望のある職業になってくれるといいなあと思うのです。
お年寄りを老人ホームに入れる家族だって、だいたいは断腸の思いで決断してるはずです。
心情的にも金銭的にも。
そういう思いを汲んでもらえるような場所で余生を楽しんでもらいたいと誰もが思うはずです。
行政がもっと切り込んでいかなきゃいけないところなんじゃないのかなー。
と思った朝です。