
本文はここから
アタシは、ほしいものって、あんまりない。
極端なことを言えば、そりゃー、「家がほしい」し、「車がほしい」けど。
でも、そんなのいつかは手に入ると思ってるし。
自分で何とかするもんだしね。
サンタさんて、実際問題どの程度までの願望を叶えてくれるもんなんだろうか。
我が家でのサンタさんは、いつも、悩みに悩んで決めたおもちゃをくれた。
あるときから、サンタはささやかなプレゼントとして、お菓子の詰まった靴下をくれるようになった。
希望するもの、ではなく、気持ち、といった感じのものへと変わった。
思えば、幼い頃から、あんまりほしいものってなかった。
何でも与えてもらって育ったからかもしれない。
今でも、その性格は変わってない。
ほしいものは我慢しない。
その時点で買ってるし、手に入れてる。
でも今、生まれて初めて我慢してるものがある。
それは、アツキのことだ。
今のアタシには、アツキのことだけがほしくてほしくてたまらないけど、我慢しなきゃいけない。
でも、サンタさんがもしも、本当に何でもくれるなら、
アタシは、アツキと、一度で良いから、デートしてみたい。
別に、手をつなぐとか、キスするとか、それ以上のことに発展するとか。
そんなこと望まないし。
何だったら、アツキのカタチをしてる人形でもいい。
ただただ、一緒に過ごせたら、それでいい。
何かについて話をして、
何かについて笑って、
何かについて顔を見合わせて。
そんな何気ない時間が過ごせたら、それでいい。
でも、これってこの上ない、贅沢な欲望かもなぁ…。