ホームヘルパーの仕事は
思ったよりも・・性に合っていると思った。
祖母の事が大好きだった私の心は・・
祖母を懐かしむことができ
穏やかな気持ちでその場にいることができる。
私の安らぎの場の一つになっていた。
そんな落ち着いた日を過ごしていたある日・・
兄が私の家に血相を変えてやってきた・・。
兄「お母さんが・・男と暮らし始めた!!」
ぇ??意味がわからなかった・・。
じゅん「は?男って??だれ??」
兄「しらない。。」
じゅん「・・・・知らないって・・・。」
AUSから帰ってきた私には
母に対してのわだかまりというか・・
疑心暗鬼な気持ちが残っていたから
連絡は、限られたことだけで
極力関わりたくないと思って過ごしていた。
私一人・・充実した暮らしをしているうちに・・・
男が出来たのか??
いい年をした母の女の姿を想像して
吐き気がした。
相手がいい人で再婚するのなら
そんな、吐き気も我慢して受け入れる気持ちもあった。
じゅん「探ってきなよ・・。」
兄「探るって・・何を・・。どういう風に・・。」
兄の動揺もわからないわけではない・・
なにせ、私自身も動揺していたのだから。
だめだ・・
兄に探らせても・・
自分の目で確かめない事には
きっと、私も納得がいかないだろう・・。
ちらつく、父の姿・・・
私の小さな心の中は
いろんな気持ちが入り混じって
窮屈に鬩ぎあっていた。
しばらく・・遠くから探りを入れてみよう・・
そして、心の整理がついたなら
母の家に行き、相手の男の人と話をしてみようと思った。
口に出す事はなかったが
いい年をした男が
自分の家に呼び暮らすわけではなく
母のところに転がり込むずうずうしさだけで
私は、不愉快だった。
心の整理がつく前に・・
とんでもない電話が一本私の携帯に入った。
「○○金融のものですが・・。」
話を聞くと母がお金を借りたらしいが
返済が滞っているから
責任をとれ!!との事だった。
話を聞いているうちに
全うな、金融じゃないことがわかった。
トイチ・・
そういう言葉を聞いた事はあったが・・・
そんなに生易しいものではなかった。
トサン・・・
80万借りて
10日で24万の利息・・・
ありえない・・・
借金をチャラにするには滞納している
24万×3回分=72万 +80万・・・・・・
152万!!!!!
今の時代は、金融法も変わって
債務者にとって
いろんなことが行動しやすい環境になってきているが
この頃の金融法は・・
あってもないようなものだった。
違法であっても
債権者の方が強気で・・脅迫まがいの取立てをしてきたのだ。
152万ぐらいなら貯金がある。
完済する事は、簡単だが・・・
沸々と煮えたぎる私の心・・・・
どこの男だか知らないが・・・
男と暮らし始め・・・
終いには、闇金での借金・・・・・・
私は、怒りに任せて
母の元に突っ走った。
インターホンを鳴らすと
母がでた。
しょっぱなから、睨みをきかせる私の目・・
兄には、話さない事を決めていた。
兄が失望する姿も・・・
兄の嫁に知られることも
私の中では、見たくもない現実だったから。
きっと、理由を聞いて
失望するだろう私がいるから
先々に、冷たくあたることもあるかもしれない。
そんな時、兄だけは・・母の味方であってほしいと思った。
母「ど・・どうしたの??」
玄関先で話し始める母に私は低い声で
じゅん「あがるよ。」と言ってドカドカと中に入っていった。
部屋の中では
くつろいでいる見たこともない男の姿が目に入った。
私の姿に驚いたのか
男は、体勢をかしこまった形に変えた。
男「どうも・・。はじめまして・・。」
私は、ふぃっと目を逸らし
母に話し始めた。
じゅん「闇金から、電話がかかってきたけど。」
母「ぁ・・。」
じゅん「ぁ・・じゃねぇよ!!」
母「・・。」
じゅん「つうか、何で闇金なわけ?他にもカードあるでしょ?」
母「・・・。」
じゅん「つうか、どういう暮らしをしているわけ?」
母「・・・・。」
じゅん「つうか、何に使ってるわけ?」
母「・・・・・・・・。」
母をまくし立てる私に
男が声をかけた。
男「・・・すみません・・。」
私は、男を見た。
男「自分が不甲斐無いばかりに・・。」
じゅん「あんたが、うちの母親に金を工面させたの?
つうか、どういうつもりであんたも人の親の家に住み始めてんの?」
男もだんまりになった。
母「・・迷惑かけて・・ごめん・・。何とかするから・・。」
じゅん「今までだって、何とかするって・・
何とかしてきたのは、私なんですけど!
完済すんのに152万もかかるんだけど!!
どうやって、何とかすんの??
父親みたいに自殺でもすんのか!!!」
私は、怒鳴った。
抑えられない感情・・・
気に入らない男の姿が・・
私をどんどんイラつかせる。
じゅん「つうか・・なんで・・闇金なの?」
母「・・・もう、限度額がいっぱいなの・・・。」
じゅん「何の??」
驚くぐらいの借金・・・・
出てくる出てくる・・・・
はるかに、私の貯金額をオーバーしている・・。
聞くと男も同じだけの借金をしていた。
同じところの闇金にも手を染め・・・・
言ってしまえば・・・
2人とも・・ここの闇金のほかにも
手を出していた。
私の貯金は・・闇金の完済にも及ばない・・・
どうした事か・・・・
私は、夜も更けていたが
知り合いの弁護士を呼びつけた。
自己破産・債務整理・・・・
いろんな話が飛び交う中・・・・
私は、その2つを却下した。
この男のせいだけではないが
この男といると母が駄目になる・・・
これ以上・・・
失望させてほしくない。
何で借金を作ったのか?
その理由は・・・・前と変わらずパチンコ代や
飲み代だった。
私の心は・・・
弁護士と母と男との話のやり取りの中で
感情というものがどういうものなのか?
忘れてしまうぐらい・・凍り付いていた。
私は、弁護士に対して
「誓約書」の文書作成を命じた。
男には、今すぐこの家から出て行ってもらい
母に会うことは、今後・・認めない。
パチンコ・飲み屋・・・いろんな共通点があるだろうが
その接点となるところに近づくことも許さない。
その代わり、男の闇金の分の借金の名義人には
私がなり返済すると条件とした。
今後は、その借金を私が払う。
お金よりも環境を整えたかった。
今は、母のおろかさに失望していても
いずれ、許せる日が来ることを
私には、わかっているから。
例えば、母が彼を本気で愛していたとして
すごく、寂しい思いをして
苦しむ事になっても・・・・
それが、母に科せられる最大の処罰だと思った。
私の目に映る覚悟を弁護士が感じたのか
その話で男を説得し始めた。
私は、包丁を台所から取り出した。
そして、静かに包丁を握り
弁護士の説得にうなだれる男を見て
じゅん「納得しないのなら。殺す。」
私は、本気だった。
10日ごとにくる利息・・
2人分で80万・・・
頭の中では、冷静に今後について考えていた・・・
花に風俗を紹介してもらって
働き始めたとして・・・
10日で80万を稼ぐという事は・・・・・
一日・・・8万・・・・
休む事なく・・働く覚悟をしたのだ。
自分の時間もとらず・・・
闇金という大きな存在の奴隷となって・・
好きでもない男に抱かれるという
職に就くことを決めたのだ。
男は、冷めた私の目と
冷めた口調に本気を感じて
弁護士が作った文書にサインをした。
約束事①(母が住んでいる区には、仕事以外では・・はいらない。)
約束事②(母に二度と会わない。会うことを望まなくて街中でばったり会うことがあっても
誓約違反とみなす為、あわない努力をする。)
約束事③(電話やメール・手紙・友人を通してなど・・間接的な手段ででも・・
やり取りがあった場合、誓約違反とみなす。)
大体は、こんな感じだが・・・
20項目ぐらいの文書の誓約書を私の都合のいいように弁護士が作成し
誓約を成立させてくれた。
誓約を破ることがあれば
私が払った分の借金および名義変更を戻す・・
そういう条件だった。
私は、母の家の紙袋をしまっているところから
何枚かの袋を取り出し・・
男に渡した。
じゅん「サインをしたんだから、出て行って。」
そして、携帯から母の番号やメールを消すように命じた。
母の携帯からも削除した。
男は、シブシブ荷物をまとめ
準備を整えた。
手持ちのお金がない・・だの・・
泊まるところもない・・だの・・・
サインをした今・・こっちとしては
男がのたれ死のうが・・テントをはって
外で暮らそうが・・知ったこっちゃない。
母は・・オロオロしてはいたが
今回ばかりは、私に逆らえないと思ったのか・・
引き止めることはしなかった。
彼が出て行く。
見送る母の目には、涙が溢れていたが
罪悪感のかけらも・・私にはない。
自業自得・・少しは、苦しんだ方がいい。
これからの私の苦しみに比べたら
鼻くそ並みの苦しみだろう。
そう思っていた。
次の日、弁護士を連れて
闇金の場所に出向いた。
法外な金利を攻め立て
時には、柔らかく・・・
この弁護士は、できる男だ。
月に1度の支払いで
100万の利息・・・
完済したげれば、
330万+100万の430万を払うという事で
話は決まった。
今の貯金は430万なんてない・・
それこそ、払ってしまったら
私の生活が崩壊してしまう。
花から聞いた風俗の何件かのお店の中から
私は、働く場所を決めることになる。