布団に眠るように横たわっていた父を

棺に入れることになった。


棺に入った父の姿をみると

今までになかった

「死んだ」という実感が少しだけわいたのは

今までにも、お葬式に出たことがあるからだと思う。


親の前や親戚の前で涙を流す事なく

着々と焼き場に行く時間が迫っていく。。


豪華な霊柩車と焼き場に人を送り届ける為のバスが

家の前に止まる。


私の部屋のドアが「ドンッ」「ドンッ」と大きな音を立てている・・。


私は、ポン(愛犬)が体当たりしてるんだと

すぐにわかった。

ポンも家族の一員だ。


私は、自分の部屋に行き部屋のドアを開けた。


どうせ、ポンは階段を自分で降りる事ができない。


私は、階段のところで立ち止まっているポンを横目に

階段を下りた。


父の棺の横に黙って座る。


10分ぐらいたった後・・・

カチャカチャカチャという犬の走る音が近づいてくる・・


ポンが勇気を出して

初めて家の階段を下りてきたのだ。


父の棺に近づけまいと

親戚がポンを捕まえようとする。


しかし、ポンは捕まらないように

棺の元へきた。


親戚が捕まえようとしているのを見て

私は、見てられなくなって親戚に言った。


じゅん「ポンも家族の一員だし・・おっしっこたれないから・・大丈夫だから・・。」


親戚は、それでも捕まえようとする。

ポンは、人を威嚇する事などない犬だったのに

捕まえようとする親戚に対して威嚇する。


ポン「ぅぅ============。」

歯までむき出しにしている。


親戚は、ひるんだ。


その瞬間ポンは、父の棺のところに

穴を掘るように引っかき

遠吠えみたいな・・

悲しげな泣き方をした。


ポン「ぅぉ~~~ン・・・ぅォ~~~~~ン。」

カリカリ棺をかく・・・

目から涙がこぼれていた。


じゅん「ポン・・・わかるの??」

ポンは、私に抱っこしろといわんばかりに足にのかってくる・・


私は、ポンを抱っこし

父の顔を見せてあげた。


ポンは、父の棺の足元にジャンプした。


じゅん「ポン・・」

私がポンを抱き上げようとしたら

母が言った。

母「じゅん・・、いいよ。ポンは、お父さん子だから・・。」


ポンは、足元から一度父の顔の方へ行き

ほっぺたをペロペロなめって

クンクン行った後・・

足元に行き父の足をあっためるように

父の足に自分の足をかけ

眠っている父の顔をチラチラ見ていた。


もうスグ、父の姿が完全に無くなってしまう・・・


ポンにも、きっとわかっている・・。


犬だからといって

人の死がわからないなんて

それは、間違いだ。


犬だって

主人が死ぬという事は

悲しい事なんだ・・・


涙を流し

父の足に自分の足を重ね

たまに足をなめ

父の顔を何度も見る


クンクン言いながら・・・・


犬でも、悲しみで涙を流すのに

私の目からは、涙が出ない・・・・


親戚一同そう思ったのだろう


「自分の父親が死んで泣かない子をはじめてみた・・」

そんな声が遠くから聞こえた・・


「冷たい子だね・・。」


冷たい子か・・

それでもいい・・。


でも、奴らは知らないんだ・・・


本当に悲しい事があると

人は、涙が出なくなるんだ・・・


心がついていかないほど

何があったのか理解できないほど

悲しい思いをしたことが

きっと、あの人たちはないんだ・・・


お葬式が終わったら

明日は、焼き場だ・・・・


残された時間は、少ない・・・


ポンは、おトイレに行きたくなると

勝手に棺から出て

おトイレをいつもの場所でしてくる


そして、戻ってきては

私に棺の中へ戻すように

抱っこを迫ってくる・・・


結局、お葬式やイベント事以外

ポンは、父に最後の愛情表現をし通した。


ポンは、愛情豊かな犬だ・・・


私もポンのように素直に愛情表現が出来ていたら

後悔することも少なかったのかもしれないな・・。