兄の結婚式の日


一応は、叔父が私に謝り・・

親戚一同も揃って謝り・・


来月からの返済を約束した。


この話が取りまとまったところで

私の冷えた心は、温まるわけがない。


遠くから来てくれた叔母さん達には

申し訳ないことをしたのかもしれないけど

それでも、納得が行かなかった私は

挨拶もせずに家へ帰った。


兄が新婚旅行から帰ってくる今週末までに

私は、今の家を引き払って姿を消す。


私は、そう決めた。


兄の結婚式の翌日

私は、貸し倉庫を借りた。


お金なら、ある。

1年分の契約を結び

花に連絡をして

一年分のお金を預けた。


初めて自分の為に羽振りよく使うお金。


どんなにたくさんのお金を貰っても

ブランド品や贅沢品なんて

一度も買ったことなんてない。


玲叔母さんや美恵叔母さん・・・

母からも何度も電話が鳴っていたが

出ることはしなかった。


本当に関わりたくない。

そう思っていたから。


ハウスクリーニングを雇って

1日で荷物を片付け

電話の権利や郵便物は、全て美里の許に届くように手配した。


私は、旅行会社に行き

AUSまでのオープンチケットを買った。


兄が戻る前に

日本から出よう。


必要最低限の荷物と通帳

トラベラーズチェックを持って

観光ビザでAUSに行く事にした。


着々と進んでいく計画・・

花も美里も詳しい事情は、聞かなかった。


たぶん、この時の私は

少し冷静さに欠けていたし

タダならぬ雰囲気を醸し出していただろうから・・・

この2人は、私の気分を察知するのがうまい。


兄が成田に着いた時刻

私は、同じ場所から旅立った。


13時間近く

飛行機にゆられ

たどり着いたところは、ケアンズ。


知り合いがいるわけでもない・・

住む所を決めていたわけでもない・・


ただ、私には語学があるから

何とでもなるとわかっていたから。


私は、タクシーに乗り

良いホテルへ連れて行ってくれとだけ伝えた。


そのタクシーの運転手は

日本人の彼女がいるらしく

たどたどしい日本語で了解!!といい・・・・・

自分の自宅に連れて行った(^-^;)


ぇ??・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


タクシーの運転手は、ちょっとまてて!と日本語で言いながら

家に入り・・・

日本人の彼女を連れてきた。


由美「だれ??@@;」

向こうも驚いていた・・。

じゅん「空港でタクシーを拾って・・安心なホテルに連れて行ってって言ったら・・・。

    なぜかここに・・。」

由美は、大爆笑した。

由美「降りて!!殺さないからw」

じゅん「つうか・・ホテルは??」

由美「うちに、パンフいっぱいあるから選べば良いよ~。」


なんだ・・??と思いつつ

日本人だし・・安心して着いていった。

タクシー代も請求しない・・・

荷物も彼が運んでくれる・・・・


なんなんだ・・・


由美「私、ゆみって言うの。ワーホリできてるんだ~。よろしくね!」

じゅん「ワーキングホリデーか!!私は、じゅん。。よろしく。」

由美は、気さくでいい子だった。


由美「じゅんもワーホリ??」

じゅん「いや・・。観光で3ヶ月いようかなと思って~。」

由美「だったら、ホテルにずっといるわけにもいかんでしょ?」

じゅん「ああ、金はある。でも、シェアハウスを探そうと思ってたんだ。」


話は、弾む。


とりあえず、この日はいいホテルに泊まりたいからと

お勧めのホテルを紹介してもらい

ご丁寧にも車で送ってくれた。


別れ際

じゅん「お金。」

由美「いいよwそんなの!!とりあえず、明日お昼ぐらいに迎えに来るから

   街中案内してあげるね~。」


またしても

え?と思った。


なんと・・フレンドリーな人たちなんだろう・・・


でも、初めての街だし

案内してもらえるのは、嬉しい。


じゅん「いいの??」

由美「問題ないよ~w」

じゅん「助かる~。じゃぁ、よろしく~。」


私は、その日

寝床に着きながら

日本に残してきた兄や母のことが気になっていた。


それでも、私は

自分から連絡する気にはなれなかったから

考えないようにして眠りについた。


後で兄から聞いた話によると

この頃、日本では・・・・・・・


兄「じゅんの携帯が解約されてるんだけど・・。」

母「え??」

兄「知らないの??仕方ない・・。お土産・・届けに行くかな。」

母「昨日まで、電話には出なかったけど・・つながってたよ?」

兄「まぁ、家に行ってみるわ。」

母「そうして!心配だから。」


兄が私の家に着いたころ

ちょうど、不動産屋さんがいて

引っ越した事をきいたらしい。

ビックリし過ぎて・・言葉が出なかったと言っていた。


すぐ、母の元に戻り

空き家になっていることを言ったら

母はだんまりで・・しばらく、何があったのか言わなかったらしい。


兄が警察に届出を出すって言ったのを聞いて

兄の結婚式の日に裏であった出来事を話したらしい。


私が旅立って

1週間後には、親戚中にこの話が伝わって

各自、自分を責めたと叔父以外が言っていた。


今は、笑い話として

皆でこの時の出来事を話すけど

私の中では、マダマダ笑い話にはならなくて

あの時の叔父の暴言や態度を思い出すだけで吐き気がする。