水商売を始めて1年・・

できた貯金は、800万。

この頃、私は一気にいろんな事で追い詰められる。

母の食堂は、結局・・利益の上がらないまま

店を閉めることにした。

その時に、母から衝撃的なことを聞かされることになる。

私の計算では、父の残したお金が少なくても

1500万は残っているものと思っていた。

しかし・・・、ふたを開けてみると

1500万どころか・・

200万ぐらいしか残っていない。

なぜ??

母は、はじめ生活のやりくりで

目に見えないところで消えていくものなんだと

必死になって訴えていた。

しかし、私も兄もバカではない・・

時間があれば、パチンコに行き

夜は、近くの居酒屋でパチンコ仲間と飲みに行っていたという事実を

兄と私は突き止めた。

父が命を賭けて作ったお金を・・・

兄も私も・・母に裏切られたという思いで動揺を隠しきれなかった。

大卒で普通に就職した兄は

自分の生活をやりくりするだけでも

まだまだ、精一杯だ。

朝から、遅くまで働いてもらえるお給料は

固定給で決して多いわけではない。

苦労して、残業をして・・少ない給料でやりくりしている兄は

お金を貰う事の厳しさを

うちの家族の中では一番知っている。

兄は、相当なショックを受けただろうに・・

母の事を責める事はしなかった。

何日か後・・

兄から、会いたいという申し出があった。

仕事を急に休むわけには行かないので

次の日にしてもらった。

母のいないところでの2人きりの家族会議・・

兄が会いたいと申し出たという事は

なんらかしらの相談があるのだろう。

母の今後の事か・・??

じゅん「何?お母さんのこれからの生活費の事?」

兄は・・うなだれながら

兄「まぁ、それもあるけど・・。」

じゅん「他には、何があるのよ・・?」

兄「つうか、俺・・、80万貯金があるんだけど・・。お前・・貯金ある?」

じゅん「・・・あるけど、なんで?」

兄「・・・・・・・・・・。」

じゅん「だまんなよ・・。何?なんかお金必要なの?」

兄「俺さ、結婚しようと思ってる子がいて・・。」

じゅん「?!!!!あら・・そう・・。おめでとう・・て言えばいいのかな?・・」

兄「結婚式のお金とか・・。」

じゅん「・・・・・・・・・・・・・。つうか、そのお金にお父さんのお金を

    当てにしてたんじゃないだろうね・・?」

兄「足りない分を借りようと思ってたんだ・・。」

じゅん「・・・・・・・・・・。あのさ、当てにする方がおかしくね?」

兄「お前だって、アメリカ行くとき借りただろ!!」

じゅん「つうか、大学行かせて貰ったんだろ?!!」

兄は、黙りこくる・・

ここで、優勢な意見を述べたのは・・間違いなく私だ。

私は、確かにお金を借りたけれど

水商売を始めて、初任給で全てを母に返したのだ。

兄は、大学のお金を返したか?返してないだろう?

だけど・・

手取り27万ぐらいしか貰っていないながらも

80万を貯めた兄は、尊敬できる。


じゅん「結婚するなら・・今のワンルームから引っ越さなきゃいけないでしょ?」

兄「・・・・・・・・・。」

じゅん「幾ら、借りるつもりでいたの・・?」

兄「200万ほど。」

じゅん「幾らずつ返済するつもりでいたのよ・・?」

兄「3万・・。」

じゅん「・・・・・・・母の生活の事とかは、全くお構いナシだね・・。」

また、兄は黙りこくる・・


じゅん「ちょと、トイレ行ってくる。待ってて。」

兄「・・・・・・。」


私は、席を立ち

銀行でお金をおろした。


500万円・・・


私は、もうダッシュで兄の元に戻り

500万円をテーブルに置いた。


じゅん「貯金は、800万あるけど・・出せるのは、500万だけ。

     結婚するなら、お母さんの生活の事を

     じゅんが考えなきゃいけなくなるよね?

     何があるかわからないから、300万は手元に置く。

     それと、使い道についてだけど。

     200万を頭金にマンションを買って。

     150万は、家具。

     残りの150万は、貸す。

     だけど、頭金の200万と家具の150万は、それ以外に絶対に使わないでね。

     あくまでも、この350万は結婚祝いとして

     じゅんが兄にプレゼントするものなんだから。

     私が決めた使い道以外では、使わないで。」

兄「マンションを買うなんて、簡単に言うけど・・。」

じゅん「一軒家でもいいけど・・、部屋を借りて家賃を払うより

    月々のローンの方が安いんだし。財産になる。」

兄「でも、働いて3年もたってないのに・・。」

じゅん「知り合いに、不動産屋さんがいるから・・ローンについては、うまく銀行からできるように

    知識を得てくるし大丈夫。」


正直、兄の結婚に対して

素直に喜べない自分がいたし・・


貯金をしなければ、私の毎月の生活は贅沢な暮らしだっただろう。


父と母と兄と私と・・

4人で過ごした家を買い戻したくて

必死で貯めてたお金・・


でも・・・


父がいなくなって・・

兄がいなくなって・・


母と私の2人で住むには、思い出も多いし

買い戻しても・・きっと、私も母も寂しくなるだけ・・・・


あの時の私は

まだ、若くって・・

父がいなくても、母と兄と3人で

父の昔話でもしながら・・一緒に過ごせる日が来ると思っていた。


でも、少し考えればわかる事・・・

兄に新しい家族ができて・・

年の順番でいうなら・・母が先に死んでいく・・

いずれ、私は・・・・一人になる。


だから、兄が新しい家族を作るというなら

兄の家族に、大切な思い出を作れるような家を持ってもらいたい。


私たち家族が

楽しく過ごしたあの家のような・・そんな家を。


私のひとつの目的は・・・・

兄の結婚によって・・・・・・・・・・・崩れ去った。。


初めて感じた孤独感・・・・


いつか、私はひとりぽっちで生きていくの?