日付変更線の向こうから

日付変更線の向こうから

旅人生活から足を洗ってはや数年、カナダ西部の田舎町に落ち着いた”私”の新生活。

娘が生まれる前に購入したタウンハウスをこの度売りに出して数ヶ月、ようやく購入者が決まり、あと10日ほどで引き渡しです。

 

売りに出すと同時に引っ越しもしたので、子供2人と猫2匹が走り回り賑やかだった家も、この数ヶ月間は空き家となり静かな冬を迎えました。

 

 

新居を買い、この家を売ると決めたのはちょうど夏の終わり。

夏の間は記録的な勢いで売買が進んでいた住宅市場が、紅葉の始まりと共に一気に静まり返った最悪のタイミングでした。

思いがけず抱え込むこととなった2軒分の住宅ローン、それに加え娘と私は職場と学校に徒歩で行ける住宅を借りて賃貸生活を始めたので、なんといきなり3軒の家を持つという、願ってもない、というか全く願ってなんかない贅沢な生活が始まったのです。

 

”ブリッジ・ファイナンシング”と呼ばれる、まさに橋を渡す様に2つの物件を跨いで組み直された住宅ローン。

その移行手数料もローン金額も利子も・・・・我々ごく一般的な移民家族にとっては恐ろしい額。

 

最初は「絶対すぐ売れてスッキリするって」と楽観的に見ていたものの、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月と経つうちに不安は募り、預金は減っていく一方。

橋渡しならぬ綱渡りファイナンシングです。

 

すぐに買い手は見つかったものの、なんとその人達も自分達の家を売らなきゃいけない。

小さい赤ちゃんと犬と夫婦でたった一部屋の小さな家に暮らしているそのバイヤーは、静かな庭とガレージがあり、沢山のトレイルや湖、森に囲まれた我が家をとても気に入ってくれたけど、自分たちの家を売らないことにはどうしようもない。

 

待てども待てども、彼らの家は売れず。

 

静かで安全で、近所にお友達もいる。小さい子供を育てるには本当にいい環境でした。

 

 

他にも買いたという人達はいたけど、銀行からGoサイン(死後?)が出ない。

物価が上昇していく中、なかなか思い切れない、などバイヤー達もほんと大変。

まあ、冬に引っ越したい人は少ないし。

 

で気がつけば4ヶ月も経った頃に突如彗星の如く現れた女性によって、トントン拍子に売買契約成立。

聞けば「離婚したのでとにかく早く新居に引っ越したい!」とのことで、まあお気の毒だけど納得のスピードで事が進んで私達にとっては有難いバイヤーでした。


 

物価の上昇は日本もそうでしょうけど、こちらカナダも凄まじく、住宅価格の異常な上昇と国民の生活苦は度々メディアでも報じられています。

メディアに報じられて、あちこちで問題提起されて、政府も何かしらアクションを起こすんですけど、焼け石に水状態で改善の兆しは見られません。

 

どの国も同じかな。

 

さて、10年間暮らしてきた大好きなマイホームに最後の掃除に行ってきました。

引っ越しの時にプロがお掃除をしたので今更大して掃除することもなかったけど、棚の隙間から子供達が小さい頃遊んでいたおもちゃのかけらが見つかったりして、そういうセンチメンタルな瞬間は私の胸にグサっと刺さります。

 

娘の誕生日の頃には毎年紅葉がすごく綺麗

 

子供達が小さい頃は心も身体もヘトヘトだったし、すごく辛かったことも楽しかったことも沢山あるけど、とにかくどんな時でも子供達は最高に可愛くて、一緒に育てた猫達もこの家が大好きで。

あの大変だった頃に戻りたいとは正直思わないけど(笑)、こんなに泣きたくなるくらい思い出が詰まったこの家と、優しいご近所さん達に囲まれた環境にお別れを言うのは本当に辛い。


 

もちろん家が売れて、やれやれと一安心。家が2軒になり(1軒は賃貸だし)ストレスは激減。

それぞれの生活もまあまあ軌道に乗ってきたし、面倒くさかった手続きや今までしたかったことにどんどんと手をつけられる様になったのは確かです。

全てが良い方向に向かっていると頭では分かっているけど、この大きな変化を心の底から消化できるまでにはまだちょっと時間がかかるのかも知れません。

 

10年前、引っ越しの片付けもまだ終わらない頃。私は妊娠8ヶ月、夫が単身赴任、2歳の息子を抱えての引越しは大変だったー!でも友人や日本の家族が助けにきてくれました。