女のふくらはぎは、その女の強さを表している。そう思う。
ならば私はどうだ。隆々としたかたいふくらはぎを持っている。私の心はこんなに脆弱なのに。
忍は自らが秘めている可能性を知らない。
去年の冬、忍の恋人は、忍以外の知らない女のもとへ行った。忍は彼とその女に対する激しい悲しみと怒りに苛まれ、しばらくの間仕事も手につかなかった。
そんな最中、忍に近づいてくる男が現れた。忍は彼を心の中でこう呼ぶ。
くまさん
まるで蜂蜜を食べているときの熊みたいに人畜無害にみえてしまう。そんなわけはないのに。
彼はしかし忍を優しく抱いたのだ。決して傷つけはしなかった。その点も、最初の男と違うところだった。
忍は情という鎖を初めて知った。切っても切れない。
愛してるけど報われない。
無力。わたしのふくらはぎはもう、やせ細っていいはずなのに。ちっとも細くならない。
忍はふと思ったのだ。
失わなければ得られない。
そう信じていたが、そんなことはないと。地平はまだ、もっと広い。
忍のふくらはぎは、ますますかたくたくましくなってゆく。
ならば私はどうだ。隆々としたかたいふくらはぎを持っている。私の心はこんなに脆弱なのに。
忍は自らが秘めている可能性を知らない。
去年の冬、忍の恋人は、忍以外の知らない女のもとへ行った。忍は彼とその女に対する激しい悲しみと怒りに苛まれ、しばらくの間仕事も手につかなかった。
そんな最中、忍に近づいてくる男が現れた。忍は彼を心の中でこう呼ぶ。
くまさん
まるで蜂蜜を食べているときの熊みたいに人畜無害にみえてしまう。そんなわけはないのに。
彼はしかし忍を優しく抱いたのだ。決して傷つけはしなかった。その点も、最初の男と違うところだった。
忍は情という鎖を初めて知った。切っても切れない。
愛してるけど報われない。
無力。わたしのふくらはぎはもう、やせ細っていいはずなのに。ちっとも細くならない。
忍はふと思ったのだ。
失わなければ得られない。
そう信じていたが、そんなことはないと。地平はまだ、もっと広い。
忍のふくらはぎは、ますますかたくたくましくなってゆく。
