先日、福岡県立青少年科学館 に行ってきました。その時『銀河鉄道の夜』のプラネタリウム が上映されていたので、見てみました。正直、あんまり期待していなかったのですが、その美しい音楽と映像に、驚きました。もう一回観たい!と思ったくらいです。全国各地で上映されているようなので、興味のある方は、ぜひぜひ観てみてください。さて、『銀河鉄道の夜』といえば、言わずと知れた宮沢賢治の名作で、私も以前読んだことはあったのですが、そのときは何の感慨も持ちませんでした。ところが今回プラネタリウムを観て、彼の想像力、表現力の豊かさ、そしてその精神の美しさに心打たれました。私が特に好きだったのが、銀河鉄道に乗り込んできた一人の少女が語る、「さそりの話」です。
川の向う岸が
「あれは何の火だろう。あんな赤く光る火は何を燃やせばできるんだろう。」ジョバンニが
「
「あら、蝎の火のことならあたし知ってるわ。」
「蝎の火ってなんだい。」ジョバンニがききました。
「蝎がやけて死んだのよ。その火がいまでも燃えてるってあたし何べんもお父さんから聴いたわ。」
「蝎って、虫だろう。」
「ええ、蝎は虫よ。だけどいい虫だわ。」
「蝎いい虫じゃないよ。僕博物館でアルコールにつけてあるの見た。尾にこんなかぎがあってそれで
「そうよ。だけどいい虫だわ、お父さん
ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命にげた。それでもとうとうこんなになってしまった。ああなんにもあてにならない。どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに
「そうだ。見たまえ。そこらの三角標はちょうどさそりの形にならんでいるよ。」
ジョバンニはまったくその大きな火の向うに三つの三角標がちょうどさそりの
ジョバンニはこの後、
「僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの
と言うのですが、そんなふうに考えられる人間って本当にごくわずかですよね。みんな自分が一番大事。でも、よく考えてみると、自分のために何かをしたときより、誰かのために何かをして喜んでもらえたときの方が嬉しいんですよね。「みんなの幸」が何かっていうのは難しいけれど、それをちゃんと考えられる人間になりたいなあ。