今まで飲んでいた薬一式と、入院に必要と思われる物を少しだけ持って病院に戻りました。
看護師さんに言われたとおり、朝飲む分の薬を一通り飲ませ(これが後にとんでもない事に・・・)ベッドに寝かせて安静にさせたのですが、
やはり意識はあるものの体が言う事を利かないみたい。

あっし「どうよ?大丈夫か?」
おふくろ「大丈夫。さっき先生が来たよ」
あっし「そう。脳外の先生かな?」
おふくろ「白い髪の毛でメガネをかけた先生。血を採っていった」
あっし「あれ?脳外の先生じゃないなぁ~。採血したの?」
おふくろ「そう」
あっし「血液検査終わっているはずなんだけど。。。」
女将「内科の先生じゃない?」
あっし「そうかもね。でもまた採血したんだ・・・」
先生自ら採血していったということは、また血液検査をするのだろう。
原因がわからないので調べてもらえるのはありがたいのだが、
家族としては不安だらけ。

早朝から動き回っていたので二人とも疲れが見えてきた。
とにかく入院できたので後は医者に任せるしかない。
入院生活に必要な備品も揃えなくてはならないので、一旦帰宅して夕方また来る方向で帰宅をしようとしたところ、看護師さんに呼び止められた。
看護師さん「先生からお話がありますので、しばらく待てますか?」
あっし「はい。大丈夫です」
看護師さん「では、後ほどお呼びしますので」
あっし「お願いします」

女将「病状の説明かね?」
あっし「う~~ん。。。それもあるし今後の治療の事もあるんじゃない?」
おふくろの様子を見ながら暫く待っていると、看護師さんに呼ばれた。

先生「え~~とね~~。ちょっと意外な話をしなくちゃならないんだ」
脳外科の先生ではなくて、内科の先生だった。
先生「こっちも意外なんだけど、聞くほうも意外な話になるからね」
あっし「お願いします」
先生「まず、はっきり言うと今お母さんは非常に危険な状態」
あっし「へっ??危ないんですか?」
先生「そう。危ない。今生きている事と、意識が有る事のほうが不思議」
あっし「そんなに悪いんですか?」
先生「うん。。。ちょっと見すぐに死んじゃいそうには見えないでしょ?」
あっし「はい。。。。。」
先生「でもね、非常に危険。いつ逝ってもおかしくないのよ」
あっし「そうですか・・・・・」
先生「でね。原因は意外や意外<カルシウム>なんだ。
   服用している薬のリストを見せてもらって怪しいと思ったからもう1回血液を検査して<カルシウム>を調べたら尋常な数字じゃなかった。
   救急車で運ばれた時に薬のデータは見せたんでしょ?」
女将「はい。ちゃんと提出しました」
先生「その時<カルシウム>を調べていればすぐにわかった事なのにね。なんで調べなかったんだろうね?S病院」
あっし「へっ?<カルシウム>ですか??」
先生「そう。<カルシウム>。<カルシウム>で死んじゃうとは思わないでしょ?普通。
   でもね、この<カルシウム>は怖いのよ」
あっし「はぁ~。。。。」
先生「血液中の<カルシウム>の量がメチャクチャ多いんだわ。致死量に達している。
   だから危ないと言ったんだけど、お母さん19年前に癌の手術を受けているよね?
   その時に甲状腺を摘出しているみたいなんだけど、それで<カルシウム>とビタミンDをずーっと飲んでいたよね?」
あっし「はい。甲状腺の機能を補うとかで」
先生「そう。甲状腺を全部摘出してしまっているならこの薬は飲まなきゃならない。
   でね、副甲状腺も全摘したのかな?」
あっし「たぶんそうだと思うんですが、なんせ19年も前の話なものでよく覚えていないんです」
先生「そうだよね~。覚えてないよね。
   で、今の症状が<カルシウム>が原因だという事はわかったんだけど、なんでそうなったのかを調べなくてはいけない。
   考えられる原因は2つ。1つは体内の何処かに癌がある可能性がある。もう1つは飲んでいた<カルシウム>が今の体に合っていない。
   このどちらかだと思うんだけど、まずは血液中の<カルシウム>を下げなくてはいけないよね。
   でね、これから治療をするんだけど、その治療によって心臓が止まってしまうかもしれないんだ。徐々に悪くなるのではなくて、突然止まってしまう。
   不整脈が現れて当然心停止する。通常は心不全で片付けられてしまうんだけれども、それくらい怖いという事を理解しておいてくださいね。
   薬が原因なら徐々に下がってくるはず。癌が原因ならなかなか下がらない。
   おかあさんの体が持つかどうかもわからない」
あっし「マジっすか。。。。」
先生「これから精密な血液検査に出すけど、1週間くらいかかる。
   それでもし癌が見つかったら見通しはかなり厳しい。
   癌でなければ良くなる可能性はある。
   ただ、腎臓が急性腎不全を起こしているから、これはどこまで回復するかはわからない。
   最悪人工透析も覚悟しておいてね。
   検査結果が出るまでの1週間も、命の保証はできません」

先生の話の途中に心電図を持った検査技師がやってきた。
その心電図を見た先生。検査技師に、
先生「こりゃ~~凄いな~~!こんな心電図なかなか見れないでしょ?
   いや~~~!これで生きているんだからおかあさん凄いよ!!」
あっし「・・・・・・」
続いて最初に診てもらった脳外科の先生がやって来た。
先生が脳外科の先生に、
先生「先生見てください、このカルシウムの数字。こんな数字見たこと無いでしょ?なかなか見れませんよ、この数字は。通常ではありえませんからね」
その数字をみた脳外科の先生も驚いていた。
脳外科の先生「よかったね~。原因がわかって♪これから内科の先生が引き継ぎますから安心してくださいね。この先生いい先生だから安心してね♪」
あっし「先生ありがとうございました」

なんだかこの<カルシウム>の状態で、生きていて意識のある人は珍しいようで、
まるで生きた標本みたいになってまんがな、うちのおふくろ。。。(笑)

先生「では、なんでこうなったかの原因追及と血液中の<カルシウム>を下げる事を最優先で行ないますので、
   先ほども話をしたように最悪の事も考えておいてください」
あっし「わかりました。よろしくお願いします」


血圧でも脳でもなかった。
カルシウムが人の生死に関わるだなんて、考えた事もなかった。
それも、長年飲んでいた薬のせいかもしれないなんて。。。。
でも、薬のせいなら治るかもしれない。
仮に癌だとしたら、カルシウムの数値を下げられないだろう。
この病院の先生に今の原因を見つけてもらって本当によかった。
もう1度S病院に連れて行っていたら、たぶん手遅れだっただろう。

とにかく頑張ってもらうしかない。
今死んでる場合じゃねぇぞ!ばあさん!!!