2015年巨大子宮筋腫のために
子宮全摘術を行ったその後の記録です
2017年1月10日に書いたモノです
♪窓に君の影が 揺れるのが見えたから
ぼくは口笛に いつもの歌を吹く──
『白い巨塔』からの帰り道
寒さでかじかんだ足先を温めてくれる葡萄酒とキヨシローの声
汽車に揺られる平和な時間
ここで何度も言っているが、『白い巨塔』とは病院という組織のこと
今日は命を救ってくれたO先生と3ヶ月振りに顔をあわせた
O先生は相変わらず穏やかな物腰だ
旭川のリハビリをしてくれている病院で年末に撮ったMRIの映像を眺め、一カ所で目を止める
「なんだろう・・・これ・・・卵巣だと思うんだけれど・・・何だろうね・・?」
と、一瞬不安にさせる
この先生にお腹の中まで見られているし、何でも躊躇なく言える
「やだ」
と思わず言ってしまうが、先生は、
「多分大丈夫かな・・・卵巣が機能しているという正常な膨らみかな・・・」
と、穏やかに言う
そしてマイコプラズマや、喘息のこと
痛み止めでアスピリン発作が出てしまったことをリハビリの病院からの手紙で読み、大変だったねぇ・・・という
旭川では呼吸器科の先生には、今後一切痛み止めが飲めないから痛みはやり過ごすしかない、と言われたこと
リハビリの先生には、自己責任で飲んでも良いけれど、基本的には何にも飲めないよ、と言われたこと
さらに数日後、飲める痛み止めも有るんだとは思うけれど、僕はわからないから他で相談したらいいよ、と言われたこと
困ったけれど、考えても専門家がそういうので仕方なく痛み止めを服用する事を諦めてYouTubeの痛みを止める音楽を聴いてとにかくやり過ごしている事を言うと
O先生はあっさりと、
「なかなかすごいことを言う先生だね・・・
成分の問題だろうから、大丈夫だと思われる痛み止めを出しとくね」
という
もうずっと痛み止めを飲むことができないと言われていた自分はまたここであっさり救われた
専門的な分野で分業の色が濃い旭川の病院が悪いとは思わないが、あっちいけこっちいけ、しまいには自己責任で飲んでみる?と言われ・・・何のための医者なのだろう・・・しかも医者になってから専門の科を選んだだろうに・・・
と、いつも苦しい思いをしながら頭の端っこで辟易していた
だからここであっさりとこう言われたことが本当に嬉しかった
「けれどもね・・・」
と、釘をさされる
「絶対大丈夫といえないから、もしこの痛み止めを飲んで体調がおかしくなったら、すぐに旭川の呼吸器科にかかってくださいね
その時は、自己責任、自己判断ではなく、札幌の婦人科に処方されたものを飲んだといって良いから」
O先生だ・・・・
この先生は、『モノ』ではなく『人』として患者と向き合える医者だ
ただ、病院という組織上の言葉はいわされていると思われる節も今まで沢山あった
そんな時の先生の顔つきは全然違う
手術からもう丸一年が過ぎた
そろそろここの外来を卒業出来るんじゃないかと何となく思っていたが、まだだった
雪がとけたころ、また調子をみせてくださいねと、3ヶ月後の4月に予約が入れられた
こんな大きな病院がなぜ自分を手放さないのかは全くわからない
しかし、自分は今日もO先生に救われた
理由はいつかわかる時にわかるのだろう
ここで出逢った美人な友人が駆けつけてくれ、あっという間の楽しい一時を過ごす
色んなことがあったね
と笑い話に出来る今が嬉しいねと笑いあう
誰にもわからないことではあるが、
3ヶ月後はどんな自分になっているのだろう──
なんて、普段絶対考えない事を、中庭のモンスターを眺めながらぼーっと考えていた
自分らしく前を向いて歩こう