酒宴はどうにかこうにか1次会を終え、2軒目の飲み屋へ。
そうこうしていると、もう午前2時。良い子は帰って寝る時間です。

「ほな、これからどうする~?」(SP)
「みんなでオレんち行こうや~」(三好)

最後は繁華街から至近の三好のワンルームマンションへ流れるのが、僕らのお決まりのルート。そこに女子が来ることもあれば、来ないこともある。そんなお部屋。

「そやそや、三好んち行こうや~」と、飲み会終盤に勢いを失っていたドクターKが、再びしゃしゃり出てきました。

「え~、ワタシら、もうタクシーで帰ります~」
「そんなこと言わんと、一緒に行こうや~」(ドクターK)
「でも~。明日、朝早いし~」
「ええやん、ええやんか~」(ウンコくさちゃん)
「いやホンマにきょうは無理です~」
「ええやんか~」(ウンコ)

アカン…。
こいつ、医者になってめっちゃ強気になってる…。
誘えば誰でも来るって勘違いしとるわ…。
ここはひとつ、オレが大人の対応を見せとかんと~

「まぁ、まぁ。きょうのところはとりあえずお開きにしとこうや」(JK)
「えぇ~」(クサいウンコ)

そのままガヤガヤと会計を済ませ、僕らがほろ酔い気分で店の外に出ようとすると…

店先に、ひとつの物体が…。

ん?
あれは何や?
ま、ま、まさか…。

エ~!!
ひと足先に店を出たドクターKやんか~!
彼がひざまづき、地面に頭をこすりつけて、何かを言っています。

「お願いします!!一緒に三好の家に来てください!!」

絶句。
一同、絶句。
そのまま、バック。

「お願いします!!」
あのドクターKが、地球にキスしながら叫んでいます。

ゴメン。
ゴメンな~、草ちゃん。
さっきは医者になったから変わった、なんて思って。
おま~男の中のオチョコや。
変わったんはオレやった。
でもゴメン、みんなヒイてるわ…。

と、その時、
僕の頭の中で、何かがプツンと切れた音がした。

立ち尽くす一同を尻目に、
僕は、勇者の隣に体を滑り込ませた。
仰向けになり、手足を赤ん坊のようにバブーと縮こませる。

そう、僕はさすらいのムーニーマン。
オギャーと産声をあげるんだ。



「ヒロT~!おっぱい揉んだろか~♪パフパフ~!」



隣では、ドクターKがまだ懇願しています。

「一緒に来てください!」
「おっぱい揉んだろか~♪」
「何もせえへんから!」
「おっぱい揉んだろか~♪」
「そんな変な意味ちゃうって!」
「おっぱい揉んだろか~♪」


僕は縮こまった手で何度も何度も空気を揉んだ。
そして手を伸ばし、夜空にまたたく星をこの手でつかんだんだ。

「おっぱい揉んだろか~♪」

さよならオレ、今までのオレ。


「おっぱい揉んだろか~♪」


さよなら元カノ、大好きだった元カノ。

「おっぱい揉んだろか~♪」

僕は立ち上がり、逃げ出すヒロTのおっぱい目がけて走り出した…。


(おわり)


2006/11/07