聞いた話 | あんなの地獄への階段

聞いた話

中学の修学旅行二日目、朝から奈良の大仏やら、どっかの武士が住んでいたところとか、
そんな全く興味のない所へ連れて行かされては、とりあえず仲間と写真を撮ったり、学校でもできるような昨日見たテレビの話なんかをしては笑い、はしゃいでいた。

そんな楽しいときの時間はあっという間で、気づいた時にはもう夕方、旅館へ帰るバスの中だった。

昨日は修学旅行初日の夜ということでテンションが上がり、全く眠れなかったことや、今日一日中歩き続けたことで、自分の席に座ってはすぐに寝てしまった。

隣の席に座ってたSは、まだ体力が有り余ってるらしく、俺の寝顔を写真に撮ってはちょっかいを出してきたり、しつこく話かけてきた。

そんなSに苛立ちを感じ、少し強めに冗談まじりっぽく
『寝かしてくれ』
と言うと、Sはつまらなそうな顔をしてふてくされて静かになった。


窓に頭を傾け、カーテンをクッション代わりの枕にして目をつぶる。

二日分の疲れが眠りの中に吸い込んでいく。








目が覚めたのは二時間後だった。誰に起こされるでもなく目を開けると、
窓の外は墓地。

小さな墓地だったがただならぬ雰囲気が漂ういかにも何か出てきそうな感じはした。


と次の瞬間、バスガイドがとんでもないことを口にした。

『はい、着きましたよ』
僕らの旅館は墓地の目の前だった。
一番後ろの席で騒がしく山手線ゲームをやっていたグループが

『絶対幽霊でるよー』
とか、
『マジ罰ゲームだべ』
とか言ってる。


最悪だ、僕もそう呟くとある異変に気づいた。

隣の席に座っていたSが今は一番後ろの席で山手線ゲームをしてたグループと一緒にいる。

じゃあ俺の隣にいるこいつは誰?

髪はバサバサで肩近くまで伸び、
雲脂が洋服の首周りに積もっている。

肌はかさつき、爪の中は黒いカスがたまっている。

そしてこの小柄な体に、独特なファッションと異臭。





岡林だ。