CBS AUDIMAX III S その2 | junker-life

CBS AUDIMAX III S その2

修理にあたっては取り敢えず手持ちのパーツで動作させて、徐々にパーツを集めようと作業を開始したところで、思いがけずシリアルが1000番くらい新しい部品取りになる個体が手に入った。一旦記事をUPしたけど書き直して仕切直し。

 

まずはもうすぐ60歳に近いだろうということで電解コンデンサとタンタルコンデンサを交換。タンタルはVisgay/BCの電解へ、ロジックの電解は元からELNAだったので同じELNAのSILMIC IIへ、電源の電解は凝らなくてもいいのでルビコンに交換。

 

上段にも配線手直しとコンデンサ交換を施したところ、配線は問題なかったがコンデンサ交換をしたらトランジスタがいくつか飛んだ。

古い機器のコンデンサを交換することで電源インピーダンスが変わり、弱っている半導体が飛ぶということがあって、今回はそれを食らったらしい。

残念だが今飛ばなくても近々壊れただろうと思って諦めるしか無い。

 

購入時からの下段不具合の原因は、まずINPUTのアッテネータにあった。

 

 

INPUT基板。

アッテネータ→トランス→トランジスタのアンプ回路へ。

トランスはメーカーも型番も不明。使ってない端子があるから汎用品なのかな?

この機器はすべてのトランジスタはソケットに刺さっている。この基板のトランジスタは2N1374 GE製ゲルマニウムPNP。

水色のコンデンサはVishay/BCの電解へうちで交換済みのもの。元はタンタルが付いていて、何個かは以前にもメンテされて電解に代わっていた。

 

アッテネータは3連のPOTの形状だが、中身は巻線の可変T型アッテネータ、Clarostat製。両端が600オームで中央が数キロオームだったかな?OUTPUTにも同じものが付いている。

 

 

国産のものも同様な構造で、コイルが壁に張り付くように配置され、上部をブラシがなぞって値を変える。

軸側の巻線が途中で断線していた。開けて見て切れた場所は特定できたが、「巻線にはハンダが乗らない」ということがわかって修理は断念。国産で500オームの単連があるので購入してバラしてみたが、径が大きすぎて入らなかった。

一旦東京光音T型アッテネータ600オーム50dBに交換して動作させて、しばらくして部品取りを入手。ガリがあったので開けて軽く掃除。

 

 

 

上側のGGS基板。

やってる内容が複雑でこの基板の説明は困難だけど、エキスパンダー機能に関連する作業を行っているらしい。

トランジスタは型番はINPUTと同じだが上段はCBSとTIのダブルネーム。

ソケットに刺さっていてハンダを剥がした跡があるわけではないので判断が難しいが、下段はGE製で、より新しい部品取りもTIなので上側はメンテされてGEからITに交換されたのかも?

 

INPUTからこの基板に音をもらう左上のトランジスタが飛んでいた。最初はとりあえず耐圧とhfeが範囲内のゲルマニウム日立2SB77で代替して動作点検。

部品取りがあっても黒GE、銀GE、TIと三つ巴になる。ここは制御電圧を作るところで音質云々よりも数値と挙動が揃うことを優先したいので、数の揃うGEのを黒銀混合で採用し、TIはIIISからは退場。

ほとんどのトランジスタが2個ペセットで差動やプッシュプルで動作しているので、黒同士銀同士hfeが揃うものをペアにし、上下では色は気にせず数値が近いものを同じ箇所に配置するようにした。

 

 

基板間の配線はソケットは用いず、直接ハンダ付けされているので、60年近く経った今では金属疲労でちょっと動かすと配線がブチブチ切れる。そのせいで症状がどんどんひどくなって行ったのでそこも手直し。配線ごと交換しようと思ったがこれに見合う配線は適当なものを使うわけにはいかない上に行ったり来たりで結構な長さが必要になるので高価になるし、被膜はまだしっかりしているのと長さもなんとか間に合うのでとりあえず根っこを切って被膜を剥いて留め直し。今のところこれで問題無い。

 

 

 

電源基板。これもコンデンサ交換後にトランジスタが飛んだ。飛んだのは電源基板のシリコン2N676。wikiによるとオリジナルはフェアチャイルド製でシリコントランジスタの一号機。B70爆撃機に使うということで最初のロット100個の一個単価は当時150ドル、これを書いている現在の価値とレートでなんと24万円くらいしたらしい。

とはいえこれはそこから7~8年後のセカンドソース品なのでそこまで価値は無いし、2N676は1965年当時すでに汎用型扱い。海外通販で新品でも購入可能だがなぜか一個数千円と意外と高いので、当初は秋月で一個10円で売っている同じピン配のオンセミ(旧フェアチャ)BC337に差し替えたが問題なく動作した。

 

 

OUTPUTの樹脂モールドも飛んだ。元はGEの2N3396シリコンNPNだが、シルクハット型の他のものに置き換えられていて型番は判読不能。

1176補修用に買っておいたTIの2N3707にしたらそちらのほうがかなり良い音がしていたが、在庫が乏しいのでとりあえずはオリジナルに戻しておく。

 

とりま、これで壊れていた・壊れた機能は回復。何も調整していないのでメーターの針はずれているが、同じような動きをしている。

 

次は調整と、マニュアルに記載されている改造を検討・検証する予定。

調整はめんどくさそうなのでマニュアルを精読しなくては。

 

 

部品取りの電源基板。今は幻のCALLINS(キャリンズ)の電解が、タンタルだったところにも乗っている。小型・低ESRの最初期らしいが???

部品取りになってしまったほうは壊れてはいないので、手持ち部品で復活させる予定。こちらはモノなので好きなように組める。