機材表面のベタつきを取る
今回はちょっと変わりネタで機材表面のベタつき問題。
主にゴムやプラスチック素材の表面に何らかのコーティングをしてマットな仕上がりにして手触りを良くしたり、マイクならグリップノイズを防止したりする効果があるようだが、経年とともにまず例外なくベタつく。
ベタついた機材はいくら音や機能が気に入っていても触りたくない。ましてや客や演者が直接扱うものでは人前に出せなくなる。
今回のドナーはこんな感じ。
かなり重症でビニール素材が触れただけでも張り付いてしまう状態。手で触ると瞬間に糊がくっついたように指先がベタベタになる。
ベタつきは加水分解の一種らしいので元には戻らない。よって除去するしか無い。
昔のEVのダイナミックマイクのボディのように素材そのものが加水分解するものではどうにもならないと思うが、幸い今回の物は普通の?ABS樹脂にコーティングしたものなので除去はできる。
以前に無水アルコールや掃除用のアルカリ電解水を試してみたがベタついた素材を表面上で移動することはできても除去することは難しかった。
いろいろと調べた結果、重曹が良いらしいという意見が多かったので試してみた。
元々加熱式加湿器のカルキ掃除用に買ってあった物だがそれには効果が薄かった。
蛇足ながらカルキにはクエン酸のほうが良い。
重曹といえばつまりはベーキングパウダーで、ふくらし粉として食用にも用いられるほど安全素材。入れすぎると苦くて食えたもんじゃないが・・・
最近は錆取りなどのサンドブラストメディアの一種としても用いられ、野天でブラストしても水で流せばOKというほど安全簡単低コストな素材。
重曹は極々弱アルカリ性であることと、水には簡単には溶解せず、つぶつぶの状態を保つのでその研磨効果も利用する。
まず容器に重曹の粉を取り出し、水を少量加えてペースト状にする。
ベタついた表面に取り出して歯ブラシやキッチンペーパー等でこする。
抵抗が大きくやりにくいなら水の量を調整する。
半分やってみて水で流して乾かしたところ。
テープの糊面のようだったべとつきがものの数分で除去できる。
この調子で全面に施す。折返し部分は触ることはないがホコリを呼ぶのでなるべく除去しておく。
終わったら水でよく重曹を流す。お湯のほうがよく流れるらしいが、入念に流してもどうしてもある程度重曹は残る。これは乾燥させてみないとわからない。乾くとベタつきの残りもわかるので必要なら再度磨く。
水で流す必要があるので電気製品に行うなら十分に防水養生するか、ベタつき部分を取り外せるものにのみ行うことをおすすめする。
全面除去した後。このように重曹は残る。気になるなら再度水で流すより乾いた状態でこすり取ったほうが早い。
ドナーはAllen&HeathのCueBOX、ME-1でした。
ベゼルはパーツとしてメーカーから出るらしいが、数円のコストと数分で改善できるので買い替えるほどのことではない。交換しても時間が経てば同じことだし。
ついでにファームを更新。
マニュアルに書いてあるとおりにやっても簡単にはできない難物。海外のユーザーも相当苦労している模様。コツが分かれば簡単。
古いiLiveの規格「ACE」でも直接接続して使えるが、これもマニュアル通りではアサインがうまく行かない罠が仕込まれている。この件はまたそのうち気が向いたら。