池上通信機 グラフィックイコライザー その2
前回に続いて、電源ジャックを3ピンに交換して動作チェック。
2台共ガリはあるものの基本動作には問題は無い。
メインボリュームとなる「利得」は音が途切れるほどのガリだったが、東京光音の抵抗器に多接点スイッチの付いたアッテネータなので蓋を開けて綿棒+アルコールで拭けばOK。パネルから外すこともなく難なくガリは取れた。
各バンドのスライド部にも少々ガリはあるが、取ろうかどうしようか、というくらいの状態。一応開けてみる。
全面の樹脂パネルを外すとステンレス製の箱に、さらに個々に箱状になったフェーダーが現れる。ここはALTEC9062Aに似た作り。
だが裏面で配線が引っかかるのでこれしか出てこない。
まあこれでも掃除部分には綿棒は届くので問題はない。
実はパーツ単体で中古を一個持っている。
25接点クリック付きのリニア型アッテネータ。丸いポッチを掃除すれば良い。
摺動距離50mm、1/8wより小さいんじゃ?という大きさの抵抗器。数値やメーカーの記載などは無い。コンパクトで精密な作りで操作に難はない。唯一の欠点は1dBごとにクリックが付いている上に間隔が狭いので、パネルを見ながらでもどこが0dBなのかがわかりにくい。
0dBのところからタップ(黄色)を取り出しているので、0dBでフィルター回路をキャンセルするとかの仕掛けはあるのかな?動いてるから回路拾うつもりは無いけど。
ここで前回にも登場した裏面の基板に戻る。先人がいずれかのタイミングでMUSEコンデンサに交換している。
この状態で音質をチェック。バイパスではトランスのみ通過するようで、音質は少々太くなる。劣化という印象はない。
EQオンにしたところ予想通りというかなん中華、いやらしい音質だった。どこをどうブーストしてもカットしても・・・なにゆえこのコンデンサがもてはやされるのかわからない・・・世の中と好みが違うのかな?
交換はされているが、元は何が付いていたのかはわかっている。
実はオリジナルの基板を持っている。
さすがにこれは無交換。ニッケミの25V/200uF、25v/100uF、25v/10uF、15vと6vの50uF。
MUSEはニチコンだが、それじゃあオリジナルと同じ現行のニッケミを、と交換してもビンテージサウンドの期待はできないので、ここは現在マイブームなELNA silmic2をチョイス。
200uFと50uFはそれぞれ220と47に、生産完了しているsilmicで耐圧まで揃えるのは難しいので少々大きめの物を付ける。silmicには横型のアキシャルは無いので、縦型のラジアルを使わざるを得ない。高さ制限があるので大きいのは横にしてホットグルーで固定。
定番や人気のコンデンサもアリ経由などでちょいと怪しいものが流通しているようだが、幸い信用できる販売店の店頭在庫で入手できた。
silmicは足の部分は無酸素銅を使っているとかで、切ったものをジャンパに保管する人もいるらしい。今回はガニ股にしたりでわりと足はそのまま使うので無理には切らず、横で伸ばす部分にはbeldenを使っている。
これで試聴すると、これも良い意味での期待通り。思った通りのslmicらしさが得られている。アクティブなので音の変化は当然あるが、許容範囲内。EQのかかりとしてはかなり効く。良くも悪くもアクティブEQ。大きさや見た目が近くてもパッシブのALTEC9062Aとは別物。マスター系にももちろん使えるクオリティ。
63Hzと125Hzを2dBくらい持ち上げるとベースとキックが心地良い音圧になる。すると中低域がボワつくが250を2dB程度切ると低音域の輪郭がくっきりと出る。
シャリが欲しければ8KHzを。積極的にブーストもするとエフェクターとして面白い音作りができる。バンド数は少ないが30バンドのように神経質な掛かりでは無いし、わりと音楽ソースにマッチする周波数設定に思える。
OUTPUTジャック。620Ωのターミネーターが付いてたw