これまで格闘技の歴史において、ライバル対決や因縁の対決はどの時代でも繰り広げられてきた。

個人的に印象に残るドラマチックなライバル対決を振り返ってみる。

▪️ジェロム・レ・バンナvsピーター・アーツ
この両者は1995年、1997年、1999年、そして2005年と通算4回K-1で拳を交えている。

個人的な意見で言うとやはりこの二人は90年代に戦った3回の試合だろう。

95年、当時前年(94年)のGPを制した若き王者アーツがそのままの勢いで95年GP決勝進出。

対するバンナは初来日のK-1にしてノーマークの強豪として決勝まで駒を進めた。

試合は経験値で勝るアーツが、ダメージの蓄積したバンナをボディーストレートでKOに下しGP二連覇でその地位を確固たるものとした。



続く2戦目は、97年7月ナゴヤドーム。当初ベルナルドと対戦予定だったアーツだったがベルナルド負傷欠場により代役のバンナとの対戦となった。

96年にベルナルドに連敗し精細を欠いたようにみえたアーツだったが、代役参戦ながらリベンジに燃えるバンナを相手に前回同様、終始自分の距離で戦いペースを握る。

大きなダメージをもらうことなく序盤からボディーや右フックを的確に当て、2R伝家の宝刀ハイキックでバンナをなぎ倒した。


バンナ相手に2連続KO勝利。アーツの磐石の強さが再び際立つ結果となった。

劇的な結末になる三度目の対決。

それは1999年GP準々決勝。 98年GPをオールKOで制したアーツを誰も止められず99年も優勝候補筆頭だった。

対するバンナは自身のスキルアップを図るべくおよそ一年、ボクシング専念のためK-1を離れていた。99年GP開幕戦が彼の復帰戦となるわけだが、10kg以上ウエイトアップし巨漢ファイター、スケルトンをいとも簡単にはKOした姿に観衆は衝撃を受けた。
これにより東京ドーム、バンナvsアーツは究極の準々決勝となった

ゴングと同時にプレッシャーをかけにきたバンナをまたもやアーツのハイキックが襲う。

膝から崩れ落ちたバンナ。立ち上がるものの足元はおぼつかず、黄金カードはまさかの秒殺決着かと場内は確信した。

しかし次の瞬間、それでも圧力をかけるバンナにカウンターの膝から右フックを狙ったアーツ。しかし直撃したのはバンナの左だった。

意識を狩り飛ばされたアーツはゆっくりとリングへ沈んでいった。  カウントが進む中、意識もうろうのアーツが自由の効かない体を起こそうとするが、立ち上がれず敗戦のゴングを聞くことに。アーツサイドにいた陣営もその絶望の光景に頭を抱えてしまう。



わずか70秒ほどの試合タイム。しかし濃密すぎる展開に東京ドームが揺れた。

ボクシングスタイルを身につけバルクアップしたバンナには過去に二度、完敗ともいえる内容で敗れたアーツに対して苦手意識や不安な表情など微塵も感じさせないオーラが宿っていた

世界中にそのパワーを知らしめたバンナはそのまま、数々の伝説を築くトップファイターへとのしあがったのだ。