BY 乾 緑郎 新潮社です。
機巧のイヴ
1,620円
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出版社WEB(文庫)では,
天府城に拠り国を支配する強大な幕府,女人にだけ帝位継承が許された天帝家。二つの巨大な勢力の狭間で揺れる都市・天府の片隅には,人知を超えた技術(オーバーテクノロジー)の結晶,美しき女の姿をした〈伊武(イヴ)〉が存在していた!天帝家を揺るがす秘密と,伊武誕生の謎。二つの歯車が回り始め,物語は未曾有の結末へと走りだす――。驚異的な想像力で築き上げられたSF伝奇小説の新たな歴史的傑作,ここに開幕!
とのこと。
収録5篇。
江戸時代と似たアナザーワールドの連作短編。
通しで登場は, 釘宮久蔵と伊武。
「機巧のイヴ」と「箱の中のヘラクレス」は,最初の登場人物の視点をメインに,「神代のテセウス」以降,「制外のジェペット」と「終天のプシュケー」は,田坂甚内がメイン視点というか,狂言回し。
バックボーンに比嘉恵庵。
「機巧(きこう)のイヴ」での連作短編の最終編,「終天のプシュケー」の後味は悪くない。
あと,「心の有無はどちらでもいいんじゃないか」。そこに存在していれば。
以下各篇,ネタバレあり。
機巧のイヴ
メイン視点:江川仁左衛門の機巧人形(オートマタ)。
ミステリ的に良くできている。
トリックは二人一役・替玉(江川仁左衛門)1本,三人一役(見せかけ羽鳥の機巧人形(オートマタ),伊武,羽鳥)1本。
どんでん返しも鮮やか。
後味はややビター。
よくできているけど果てどころがちょっと疑問。
箱の中のヘラクレス
メイン視点:天徳鯨右衛門。
そそ毛の手入れが必要か。
箱の中に天徳の何を移したのか?移せたのか?
神代のテセウス
メイン視点:田坂甚内。
甚内を突き飛ばす伊武の行動が,シリーズ屈指の面白さ。
この後,しばしば腰掛けギャグが出てくるようになります。
大川の例えは哲学的。
制外のジェペット
ミステリ的手法,二人二役入れ替わり。
計画の頓挫も結果オーライ。
終天のプシュケー
制外のジェペットから10年後。
神代の神器と呼ばれているものにあれほど殺戮させなくとも。。。
247ページ
「知識は嘘をつくが,技は嘘をつかぬ。神は手の中に宿ると思え」(比嘉恵庵)
251ページ
法螺吹きの爺さん
とは誰か分からない。矢車長吉か?
261ページに究極の種明かし。
139ページに伏線があり,
275ページ
誰かに気に掛けられたり,愛されているからこそ,それに応えるために,伊武も,そして天帝も,人のように振る舞うことができる。その振る舞いの中に命がある。
機巧人形(オートマタ)達
江川仁左衛門:(羽鳥依頼,釘宮久蔵作)「機巧のイヴ」
伊武:(神代の神器の古い部品?(「神代のテセウス」より)と思いきや,実は)「機巧のイヴ」,「箱の中のヘラクレス」,「神代のテセウス」,「制外のジェペット」,「終天のプシュケー」
天帝:(神代の神器を参考に比嘉恵庵作)「神代のテセウス」(名前のみ,存在暗示),「制外のジェペット」,「終天のプシュケー」
神代の神器:(神代の神器と呼ばれているもの「神代のテセウス」より,「終天のプシュケー」で実は神代の神器の古い部品による比嘉恵庵作)「神代のテセウス」(名前のみ,存在暗示),「制外のジェペット」(名前のみ,存在暗示),「終天のプシュケー」
以下目次
機巧のイヴ
箱の中のヘラクレス
神代のテセウス
制外のジェペット
終天のプシュケー
参考文献
初出一覧
機巧のイヴ (新潮文庫)
680円
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最後までお読みいただき,ありがとうございました。感謝します。
また,遊びに来てください。