微微の笑顔に世界が傾く

作者:顧漫

中国小説「微微一笑很傾城」(シンデレラはオンライン中!)の
日本語解釈文です。
ドラマとは若干異なっています。

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テーマ:

Part30 達人の風格

 

パーティーを組む前、雷神妮妮は死にたい気分だった。

パーティーを組んだ後、そこにずらりと並んだIDを見て雷神妮妮は一気に元気を取り戻し、HPが満タンになった。

昔の言葉どおり、1人の妮妮が雷に打たれると無数の妮妮が稲妻と雷鳴の中、立ち上がる。すべてはゴシップのため!拳を握れ!

コンピューターの前で雷神妮妮はじっと画面を凝視すると、小さな目から何百万ワットもの怪しい光を放つ。左手でしっかりプリントスクリーンキーを押しながら、心の底で念じ続ける : 来い!火花よ、弾けろ!

悲しいかな、1分1秒と時間は過ぎたが、彼女が期待した閃光は現れない。

幽冥洞窟とは、実際には6段の樹木の洞穴である。幽冥洞窟のBoss もっと正確に述べるなら——幽冥鬼婆とその情夫たち>_<。聶小倩(じょうしょうせん)が救助を求めると言う設定の下、腕試しをさせられる第1ステージを除いて、その後のステージはすべて鬼婆の情夫たちが守っている。情夫たちを倒し、かわして進んだ末に最後のステージに入ることができる——幽冥鬼婆と前のステージで逃げ出した情夫の総動員だ。

このクエストは非常に腹黒だと言えよう。中でもとりわけ腹黒なのは後半部分だ——幽冥洞窟に挑んだ女性プレイヤーが死んだら、システムは単にプレイヤーが戦死したと通知するだけだ。しかし男のプレイヤーが死ぬと、システムは 「プレイヤーxxxは幽冥の奥深くへ消え……」 とアナウンスする。

この思わせぶりな省略記号、点点点。幽冥鬼婆が情夫を囲うという性質と組み合わせてみれば、男性プレイヤーの行方は言わずもがなである。ゆえに、ひとたびパーティーが消滅すると、世界チャンネルでは必ずこの2文が語られる。

「ああ、また1人、婆さんにエキスを吸われて死んじまった」

「XX君、情夫になった気分はどうだい?」
 
当初は、自分の名前と幽冥鬼婆を結びつけるような反応に耐えきれず、序盤の数ステージで死んだと言い張るプレイヤーもいたが、それでも世界チャンネルの反応は——

「なんてこった、最初のステージだって?なんと男に操を奪われちまったのか」

あるいは——

 
「女の小倩すら倒せないとはね。君はそれでも男かい?」

これらに比べたら、情夫になったと思われる方がましだ>_<

 

 

パーティーは順調にいくつかのステージを通過した。とは言え微微からしてみれば、かなりゆっくりに感じる。真水や小雨と組んだため、微微は短時間で決着をつけて、早々に大神と立ち去りたい。ザコみたいなモンスターに無駄なエネルギーを使いたくないと考えていた。しかし小雨妖妖がデタラメに駆けずり回り、常にザコを引き寄せてくるので、その退治に時間を費やさなくてはならない。

もう1ステージを残して大小のモンスターを片づけ終わると、雷神妮妮が最終ステージへワープするポイントに立ち止まり、ためらいがちに尋ねる。 「次のステージは誰が指揮を取りましょうか?」


実際、指揮権は洞窟に入る前に決めておくべき問題なのだが、雷神妮妮は現実逃避の心境からずっと言い出せずにいた。ここまでのステージではこの問題は目立たなかった。なぜなら微微と奈何がいて、夫婦2人がそれぞれの力を発揮するだけで十分だったからだ。しかし今、最後のステージはそうはいかない。強力な敵に直面するにはしっかりした軸が必要だ。
 
雷神妮妮は当然、一笑奈何が軸になるべきだと思っている。彼女は伝説のNo.1達人が立てる戦略の貫禄を味わってみたいとずっと願っていた。しかし真水無香と小雨妖妖がここにいるため、言い出しにくい。
 
微微は彼女の葛藤に気づき、慣例に従ってレベルの高い人が指揮しようと言いかけたが、意外にも真水無香のレベルは大神と同じくらい高くなっているではないか。微微は少し驚いた。彼はどうやってこんなに早くレベルを上げたんだろう?大神と彼女はしばらく遊びに来なかったから、追いつかれるのはちっともおかしくない。しかしこれほど急ピッチで追いつくとは、まさか彼は昼夜休まず、飲まず食わずでゲームばかりしていたのだろうか?

疑問を抱く間、奈何が告げているのが目に入る。 「好きにしな。ここの難易度は普通だ」
 
微微は脱帽した。
 
大神、あなたって悪賢いわね。そんな風に言ったら、たとえ真水が指揮したくても出来ないじゃない。もしくは、あなたが要らないと捨てたものをただで拾ったように見えるじゃない。
 
真水、小雨、妮妮、一同沈黙……
 
長い時間。
 
微微 「……難易度が普通なら、私がするわ」
 
以前、微微と真水が共同作業する時、ほとんど微微が指揮を取っていた。その後、奈何と結婚してからは、その権限は大神に譲ったのだが、今またバトンが戻って来て、何となく慣れない感覚がする。
 
特にパーティーの中にリズムに乗りきれないメンバーがいる場合。
 
>o<
 
幽冥鬼婆はとてもパワフルで、倒錯した技を持っている。
 
‘カオス陰陽’の術、医師は能力を活かせない。
 
‘一撃返し’の術、敵へ仕掛けた攻撃が特定の割合で味方の身に返ってくる。
 
‘夫婦反目’の術、パーティーの中に夫婦がいる時、生じる技であり、‘一撃返し’と似たような作用をする。
 
‘採陽補陰’の術、かなり邪悪だ。男性プレイヤーのHPの割合が減少し、その分が一定倍数増しで幽冥鬼婆のHPに補充される。

 

 

総じてこのBossは、医師に対して課す試練が比較的大きい。そのため、一笑奈何のパーティーがこのBossと対決するのはそれほど難しいものではないし、大神が身をかわす能力も非常に高い。

ある程度戦うと、鬼婆はここまでに逃げ出した情夫たちを呼び戻し、集団での決闘が始まる。


微微はまっ先に情夫の1人を片づけたい。なぜなら彼は標的を遅くする「神行亀歩」と呼ばれる厄介な技を持っているためだ。しかしちょうど彼女が位置を変えるのと同時に、奈何が指摘する。

『パーティー』[一笑奈何] ボスを。

微微は幽冥鬼婆を攻撃しろという意だと理解し、小Bossは放っておいて、幽冥を集中攻撃する。
 
奈何がすばやく説明する。 「救済クエストだ。生存者の数に比例した報酬がもらえる」

微微は思い出した。さっき聶小倩と会話した時、この情夫は全員 幽冥鬼婆に命じられて彼女が誘惑した男たちだと確かに言っていた。目的は彼らを救うことであり、当然殺してはいけない。

微微は思わず恥ずかしくなる。負んぶに抱っこでいたら、やっぱり判断力が落ちてしまった……Bossを攻撃しながら、微微は真剣に考え始める。私と大神、いったいどっちが支えられているんだろうかと。

もちろん指揮も忘れていない。

『パーティー』[蘆葦微微] 弓矢

ウェイウェイが完全に文章を入力し終える前に、幽冥鬼婆の攻撃に妨害される。引き続き入力する時機を見計らっていたが、真水無香は理解したらしい。

『パーティー』[真水無香] OK

微微は少し驚く。そして真水無香が彼女が考えた通りの位置に立って攻撃するのを見た。

『パーティー』[雷神妮妮] ハハ。お2人さん、息がピッタリね。

空気を凍りつかせる今日のキングは、雷神妮妮だと言っても過言ではなかろう。彼女が口を開くたびに、雰囲気が少なくとも半日冷たくなる。幸いこのBossもほぼ倒しかけて、まもなくケリがつきそうだ。しかしこの時、新たな局面にぶつかると誰が予測できただろう。

真水無香のHPを保つために、彼に焦点を絞って体力を補充し続けていた小雨妖妖が、突然 一笑奈何に体力を補充した。

奈何はパーティーの主たる医師として、幽冥鬼婆が狙う第1標的だったが、小雨妖妖が彼に体力を与えたため、幽冥鬼婆の憎しみはすぐさま彼女に移り、彼女に向かって攻撃する。彼女の避難能力はとうてい大神と比べようもなく、1度の攻撃で地べたに倒れて死んでしまった。

その後、体力の補充を受けられなかった真水無香もHPが尽きて死んだ。

ウェイウェイは一連の急転にあっけにとられる。小雨妖妖が突然 奈何に体力を補充したことに、どうしても納得がいかない。まさか彼女は真水に固定しておくことすらできないのか?

手を下すのが自ずと遅くなる。もし今、大技を使えば、幽冥鬼婆は必ず死ぬだろうが、真水無香と小雨妖妖を復活させる間がないかもしれない。微微からすれば、彼らが死のうが死ぬまいがどちらでもかまわないのだが、実際に自ら指揮を取っていた。パーティーの半分が死亡したのでは、彼女の指揮にミスがあったように映ってしまう。

微微は心の中でひそかに怒る。小雨妖妖のこんな力量のせいで、幽冥鬼婆に傷を治療する時間を与えた。

 


対策を考えていると、まばゆい技がチカチカ光るのが目に入る。華やかなビームを放つ琴楽師の必殺技で幽冥鬼婆を突き刺す。ほぼ同時に純白の治療の光が、真水無香と小雨妖妖を次々と復活させた。

電光石火。

時間が停止する。

幽冥鬼婆の死体がどしんと倒れる。

白衣の琴楽師は琴を携えて立っており、衣がひらひら翻る。

何もかもすべてがあっという間の出来事で目もくらむ中、微微は心臓が止まりそうな気がした。常日頃おしゃべりの妮妮もぽかんとし、その後爆発した。

『プライベートチャット』[雷神妮妮] 「ナイスKO、微微、あなたの旦那さんってカッコ良すぎ!」

『プライベートチャット』[雷神妮妮] 「こんな短時間でどうやってこれだけのこと やってのけたの?」

『プライベートチャット』[雷神妮妮] 「ホントに真水と妖妖を復活させるなんて。まさに達人の風格だよね。メチャクチャ度胸あるし、男らしい!」

ウェイウェイの指はキーボードの上に止まり、心が揺さぶられた。

電光石火の間に片方を救済し、もう片方を退治する。不可能に近い華麗なる奇跡だ。普段はつれない琴楽師、この瞬間はまるで無言の強引さが体を覆っているかのようだった。

 
……

……

かなり長く経って、ウェイウェイはこの場面を思い出し、大神に真水と小雨妖妖を救った理由を訊かずにはいられなかった。どう見ても大神が目の敵に恩恵を施す人のようには見えないから。

シャオ・ナイはじっくり考えてから言う。 「俺のおかげで命拾いする方が、2人にとっちゃ屈辱的だと思わないかい?」

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