Silent Separation

Silent Separation

作者:顧漫

中国小説「何以笙箫默」(マイ・サンシャイン)の
日本語解釈文です。
ドラマとは若干異なっています。


テーマ:

Part.10 第6章 離合(1)


「ホ、ホー先生ですか?」 メイティンは戸口に現れた人物を見て驚く。 「先生、病院にいらしたんじゃ?」

「今朝、退院した。メイティン、後でANAS社の案件に関する資料を俺のオフィスまで持って来てくれ」 イーチェンは歩きながら話す。 「この数日に何か重要なメッセージはあったか?」

「はい」 メイティンはすぐにメモをめくって、いくつか重要な伝言を報告し、少しためらいがちに言い添える。 「ホー先生、《秀色》の女性記者から何度か電話がありました。単独インタビューをしたいとのことで、一度直接お見えになってます。先生とは同窓だそうですが、折り返し電話なさいますか?」

《秀色》 という言葉に、イーチェンの瞳が微かに光るが、すぐまた平静さを取り戻す。 「その必要はない。この次また電話がかかってきたら、その場で断ってしまってかまわない」

「はい」 メイティンはうなずきながら、ついに何事にもそつがなく、決して手を抜かないホー先生が帰って来たという感触を抱いた。

シアン・ホンが検察庁から戻って来たその足でイーチェンのオフィスのドアを押し開ける。案の定、書類と首っぴきで仕事している姿を見て、開いた口がふさがらない。

「メイティンから話を聞いても信じなかったが、これはいったいどういうことか説明してくれるか?」

「どのことだ?」 イーチェンは書類から頭を上げて見返す。顔色はまだやや青白いが、眼光は透みきって活力がある。

「とぼけるな。俺の記憶では退院はあさってだと思ったが。どうして今、ここにいる?」

「退院を繰り上げた」

シアン・ホンは頭を撫でる。自らも弁護士ではあるが、弁護士相手に会話するのは厄介だと認めざるを得ない。こんな返答は答えていないに等しい。 「死にたいのか?事務所はお前がいなくても潰れやしないがな」

「そうとは限らん」 イーチェンは手にした書類をかざす。 「この分野じゃ、お前もユエンさんも決して得意とは言えないはず」

シアン・ホンは唸り声をあげる。 「たとえ俺たちは無力だろうとも、交渉のテーブルで倒れやしない」

「シアン・ホン」 イーチェンは椅子の背もたれに寄りかかり、否応なく旧友を見る。 「俺が我が身を削って笑いを取ると思うか?」

「まともな時のお前なら……」 シアン・ホンは彼をちらりと見て、単刀直入に尋ねる。 「彼女は行ったか?」

イーチェンの眼が少し陰り、答えることなく問い返す。 「お前がよこしたのか?」

シアン・ホンはうなずき、イーチェンの顔色を一瞥して、ため息をつく。 「どうやら余計な口出しだったようだな」

「いや、むしろ感謝したいくらいだ」 イーチェンは淡々と言う。 「彼女から強烈な一撃を食らったおかげで、完全に目が覚めた」

「お前……」 シアン・ホンは口を開くが、何と言えばいいかわからない。

「安心しろ」 イーチェンは落ち着いた表情で彼を見る。 「俺と彼女はもう完全に終わった。いいや、こう言ったほうがいいか。俺の独りよがりの想いは終わったと」

夜11時、イーチェンは車を停めてエレベーターに乗り、まだ頭の中では明後日の交渉の詳細を巡らせている。ここのところ10時前に帰宅できた例がない。いくつもの案件を同時に進めており、毎日目も回る忙しさだった。シアン・ホンは説得することを早々に諦めた。ユエンさんはと言うと、この四半期の収入がどのくらい増えるか一日中嬉しそうに計算し、ニコニコ笑って最高の棺おけを準備してやると豪語する始末だ。

実際、彼はとても疲れきっていたが、そういう忙しさが無理にでも必要だった。

エレベーターが「チン」と鳴って、12階に到着した。イーチェンはエレベーターから出て来ると、鍵を取り出しドアを開ける用意をするが、戸口にいる人物を見た瞬間、一切の動作が凍りつく。

彼女は薄手のセーターを身に着け、膝を抱えて彼の部屋のドアの前に座っていた。顎を膝の上に載せて、目はぼうっと前方の床を見つめている。

足音を聞いて、彼女は顔を上げた。その姿はなんと病人である彼よりもっとやつれ、いくらかほっそりして、顎がシャープになっている。彼を見た瞬間、一段と大きく見える目には狼狽の色が動き、まるで崖っぷちに立たされ逃げ場を失った人のようだ。

どちらも声を発しない。イーチェンは3秒間止まるが、目を向けることなく歩き出し、彼女の横を行き過ぎる。

静かにドアを開けて入った後、後ろ手で閉めようとした。

しかし、ドアの閉まる音が聞こえることはなく、代わりに彼の袖がしっかり握られていた。

「イーチェン」 彼は彼女の声を耳にする。それはか細い声で、まるで小動物のすすり泣きのように頼りない。 「まだ私が必要?」

彼女は自分が何を言ったかわかっているのか?!イーチェンは意を決して振り返って彼女を睨みつけるが、その表情はまるで幽霊を見るかのようだった。彼女の声が小さくて弱々しかったとは言え、こんな静まり返った夜にまさか聞き取れないはずがない。彼は必死に気を鎮めようとして袖を引き抜きたいのに、彼女の手は頑なに引っ張って放さない。

慣れ親しんだ小癪な行動に懐かしさを覚えている自分に気づき、イーチェンも我ながら情けない。

「放せ」

たぶんその声がきつすぎたのだろう。彼女の手は震え、その後、指を1本ずつゆっくり放していく。

彼女がうつむいているため、イーチェンはその表情をうかがえなかったが、この瞬間、悲しみで胸を痛めている彼女の姿が頭に浮かんだ。

一つ一つの表情がありありと甦った次の瞬間に、己が情にほだされるのは目に見えている。

彼女を気にも留めず、イーチェンはまっすぐバルコニーへ向かう。冷たい夜風が彼の頭を冷やした。彼女はこれまでずっと俺を翻弄する能力を持っていた。かつてもこんなふうだったのに、今や以前にも増している。だから、弥が上にも冷静にならなければならない。さもないと間違いなく惨敗してしまう。

彼はリビングルームに戻って来たが、彼女はまだ縮こまってドアの外に立っていた。 「入って来い」 彼の声はすでに落ち着きを取り戻している。 「何が飲みたい?うちにはビールと水しかないが」 彼女が一番好きなのはカラフルな飲み物だと記憶している。

モーションは頭を振る。

イーチェンは無理強いせず、ソファーに座る。まったくもってゲストをもてなすホストの所作だ。 「訪ねて来たのは、何か用があるのか?」

モーションは彼のそんな折り目正しく他人行儀な物言いを予想していなくて、にわかに慌てふためく。 「私、今日病院に行ったんだけど、お医者さんがあなたはもう退院したって……」

「もし病人を見舞いに来たなら、帰っていい」 イーチェンは彼女の話をさえぎった。

モーションは何も言い出せない。

イーチェンは彼女を見て、少し皮肉って言う。 「今の話が聞き違いじゃないなら、君は浮気をお望みのようだな。君の意にかなってとても光栄だが……」

彼は途中で止めて押し黙るが、モーションには彼が何を言いたいのか十分すぎるほどわかっていた。彼女の顔色は突然蒼白になり、言葉というものがどれほど人を傷つけられるか身をもって知った。彼女は針のムシロに置かれて、数言を絞り出すことしかできなかった。 「違うの」

「何が違う?」 イーチェンの息をもつかせぬ視線が彼女をまじまじと見る。 「結婚してないとでも言うつもりか?あれは俺を突っぱねる口実にすぎなかったのか?」

疑問口調で話してはいたが、9割方確信を持っていた。彼の推測には根拠がある。彼女はずっと一人暮らしだと知っているし、ましてや見合いにまで出かけている……

もしもそうなら、イーチェンは心に鈍痛を感じ始めた。俺を拒む口実だったのか。だが同時に、かすかな喜びが心の底からじわじわと広がる。

しかし、モーションは彼が望む回答を与えることなく、オドオド動き始めた瞳にはほのかに……不安が垣間見える。

彼女が言うまでもなく、イーチェンにもはっきり理解できた。なにが理性だ。なにが冷静だ。そんなものはもうすべて捨ててしまった。代わりに怒りと屈辱で体じゅうが満杯になる。

ホー・イーチェン、この独りよがりのピエロをお前はいつまで演じるつもりだ!

「いいだろう、君は俺をどうしたいのか言ってみろ。中国の秘密の恋人か?それとも人目を忍ぶ不倫か?チャオ・モーション、よく聞け。お門違いも甚だしい!」 彼はこの手が彼女の首を絞めてしまわないよう必死に自らにブレーキをかけなくてはならなかった。

「いいえ……私……私と彼は……」 モーションは彼の激しい怒りに怯え、物言いがおぼつかない。自分とイン・フイの事をほんの数言で説明しても理解されないだろう。とっさにたった一言だけ思い浮かんだ。 「離婚したの」 そう口に出すと、いくらか落ち着きを取り戻し、無意識にもう一度繰り返した。 「私は離婚したの」

離婚した?イーチェンの顔色がさらに曇って冷ややかになる。怒りの極限状態に達するとむしろ笑えてきた。 「このホー・イーチェンが離婚した女を欲しがると思ってるのか」

モーションは色を失って、眼が徐々に暗くなり、肩を少し落とした。こうなることは予測してたんじゃないの?わざわざここまで足を運んで、死んでしまった心にもう一度とどめを刺す必要があったの?ただあの短い詩を拠りどころに、あの写真だけを拠りどころに、大勝負に出た私はなんて大バカ者なんだろう!

だけど、やっぱり彼には知ってもらいたい。 「私と彼の間は決してそういうんじゃ……」 モーションは徒労に過ぎなくても釈明したかった。

「たくさんだ!」 イーチェンはもはや我慢の限界とばかりに一喝して話を封じた。 「君と元夫の関係を説明する必要はない。もしも同情とか慰めが欲しいなら、君は相手をまちがっている」

彼女は唇を開きかけたが、結局何も言わなかった。話そうが話すまいが、実際に大した違いなんてないじゃない。事実はもう変えようがない。

「帰るわ」 モーションは立ち上がり、彼を見ることなく、小さく震える声で言う。 「お邪魔して、ごめんなさい」

彼はまるで袋小路に入り込んだかのようで、彼女を引き止めなかった。

彼女がドアを開けた時、背後から話しかける彼の声が聞こえた。 「待て」

振り返ると、彼はソファーから立ち上がって、テーブルに置いた車のキーをつかむ。 「送って行こう」

モーションは思わず立ち尽くし、頭を振る。 「結構よ。一人で帰れるから」

「恐らく帰れるだろう」 イーチェンは皮肉って言う。 「だが、うっかり何か事故にでも遭ったら、俺が容疑者になる。そうなったら、俺たちは本当に関係を断てなくなる」

弁護士の思考というものはすべてにおいてこんなにも事細かなのだろうか?モーションはとても苦しげに言葉を吐き出す。 「お手数かけます」

「これが生涯で最後だ」 イーチェンは冷ややかに言う。

モーションはこれまでこんなに猛スピードで走る車に乗ったことがなかった。運転手の表情は冷静そうに見えるが、車のスピードは常軌を逸していて怖い。ようやく停車した時、彼女の顔はすでに蒼白で手足の力が抜けていた。ところがイーチェンは、たった今散歩を終えたような穏やかな表情をしている。

「理由を1つくれ」 彼が前方を見たまま言う。

彼女は彼の素っ気ない横顔を見るが、胃がムカムカしてその言葉がどういう意味か考える余裕ができない。

「言ってくれ、俺を愛してると」

モーションは胸を衝かれ、突然声がつまる。 「イーチェン、私……」

「もういい!」 彼は突然、荒々しく彼女をさえぎった。 「言うな!」

彼女は当惑して彼の気まぐれな表情を眺める。

長い時間経って、彼は言う。 「帰れ。明日答えるから」

車酔いのせいだろうか、その夜彼女は一晩中熟睡できなかった。早朝、半分寝ぼけた状態の時間に携帯が鳴り、彼女はすぐに出た。

「もしもし」

「下にいる。身分証を一式持って下りて来い」

彼は話し終わるとすぐに電話を切ってしまう。モーションは問いかける機会もないまま準備を整え、そそくさと駆け下りる。イーチェンの車は向かい側に止まっていた。モーションは一瞬ためらった後、ドアを開けて車に乗り込む。

「身分証は持ってきたか?」

「持ってきたわ」 モーションは少々腑に落ちない。 「身分証でどうするつもり?」

「区役所に行く」 イーチェンは淡々と言う。

「区役所?」 モーションは要点がつかめなくて、理解しづらい。

「そうだ」 イーチェンはまるで自分とは無関係な話をしているかのようにさらりと言う。 「婚姻届を出しに行く」

結婚?!モーションは目をあらわれる思いで彼を見て、聞き間違いじゃないかと耳を疑う。 「イーチェン……」

「行きたくなければ下りろ」 イーチェンは彼女にまったく目もやらずに、そう一言言い放つ。

彼女は彼の断固とした表情を見て、突然悟った。彼は私を追い込むと同時に、自らも追いこんでいる。結果如何にかかわらず、彼は結論を出したがっている。しかも、発言を撤回する余地さえ残さない。もしも今、私がこの車を降りてしまったら、私たちには本当に将来の見込みがなくなるだろう。

モーションは深呼吸をする。 「行くわ」

「本気か?」

モーションはうなずく。すべてが決まると、彼女はむしろ落ち着いた。 「私に言ったことを覚えてる?将来、あなたが私の夫となる定めなら、ちょっと早めに自分の権利を行使したっていいんじゃないの」

彼は前を向いたまま、冷やかに言う。 「そういう考えは過ちを招くだけだと事実が証明している。君はまた同じ轍を踏むつもりか?」

モーションの目がすっと暗くなる。 「車を出して」

区役所の中にすでに数組の新婚カップルが待っていて、それぞれベタベタと睦まじくじゃれ合っている。彼女とイーチェンだけが、2つの独立した彫像のようにしゃちほこばって並んで立ち、周りの人の注目を多いに引きつけた。

モーションの隣りに座った丸顔の女性が好奇の目で長い間こちらを見ている。モーションはその視線がきまり悪くて、彼女に向って恭しく微笑む。彼女も笑い返し、それを機に話しかけてきた。 「あなたたちも届け出に?」

ああ!何と絶妙な質問。モーションはうなずく。

彼女はイーチェンを一目見て、やっかみ半分に言う。 「お宅のご主人、めちゃくちゃイケメンね」

「おいおいおい」 彼女の横にいた小柄な若者がすぐさま抗議して、彼女を引っ張った。 「君のもっとイケメンな旦那がここにいるぜ!」

「そうなの?」 丸顔の女性は満面に懐疑をみなぎらせ、突然屋外の空を指さす。 「ほら!見て見て。どうしてあんなにたくさんの法螺貝が空を飛んでるのかしらね?」

彼女の夫は直ちに以心伝心で話を継ぐ。 「君の旦那がここで思いっきり法螺を吹いてるからさ」

モーションは笑いを堪えきれなかった。彼らの幸せぶりはなんと大っぴらで、充実感にあふれているんだろう。もし……彼女が傍らにいるイーチェンを見てみると、彼は顔を背け、無表情で窓の外を眺めている。

「ねえ、お2人はどうやって知り合ったの?」 丸顔の女性が彼女に尋ねる。モーションたちに興味津々の様子である。

どのように知り合ったか?「遠い昔のことよ」 モーションは彼女の熱意を拒みきれず、思い出して語る。 「ちょうど大学に入ったばかりの頃、私は写真撮影が趣味で、いつもカメラを持ってあちこち撮りまくってたの。ある時、彼が木の下にぼうっと立っているのを見て、思わずシャッターを押したんだけど、それが彼に見つかっちゃって……」

「ちょっと出てくる」

イーチェンは突然立ち上がると、会話をさえぎり、彼女が何か言うのも待たず、まっすぐに歩いて行った。

丸顔の女性の視線はすでに羨望から同情に変わって彼女を見る。  「まあ……お宅のご主人はとってもクールね」

「ええ」 モーションは気まずそうに同調する。

しばらくして職員が現れるが、まだイーチェンが戻ってくる気配がないので、モーションは探しに行った。彼はドアの外に立ち、彼女に背を向けて煙草を吸っている。

「今ならまだ戻れるぞ」 彼は彼女の足音を耳にして、振り向きもせず言う。

彼には見えないとわかっているが、彼女はやはり頭を振る。 「入りましょう」

「モーション、これは君の選択だ」 彼は彼女の頭上に向かってこんこんと言う。 「今から、たとえ俺たちが生涯互いに苦しめ合うとしても、君を決して放しはしない」

初秋の天気、どう考えても寒すぎるわけがないのに、モーションは突然吹き寄せる風の中に寒さを感じ、足の裏から心臓に至るまで冷え込んだ。

続いて一連の手続きをする。モーションはどうしてもキツネにつままれたような思いをぬぐえない。これら、数枚の紙、数個の押印でもって、本来まったく無関係の男女を、2人の過去がどうであれ、生涯にわたってつなぎとめることができるだなんて。

1時間余り前、彼女は自分たちがまさか夫婦になるなど思ってもいなかった。これほど劇的な変化は、今現在の出来事が真実だろうかと彼女に疑念を抱かせる……

「サインしろ!」 突然、耳元にイーチェンの物憂い声が届く。 「今さら引き下がれないからな」

それを聞いて彼女は我に返り、自分が署名するまでにとても長い間ぼんやりしていたことに気づいた。急いで自分の名前をサインすると、訝しがる職員に渡す。

「あのう」 職員は用紙を受け取り、ためらいがちにもう一度尋ねる。 「本当にご自分の意志でしょうね?」

イーチェンの表情が険しくなる。

「もちろんです」 モーションは笑顔で答える。 「ちょうど今、家のカーテンはどんな色がいいか考えてたもので」

区役所から出ると、イーチェンは彼女に自宅の鍵を投げた。 「君の荷物を全部うちに運び込め。カーテンの色は、変えたいなら変えてかまわない」 彼はやや皮肉って言う。

モーションは彼の皮肉を嗅ぎ取れなかった。手に鍵を握り、少し気が落ち着かない。スピードが速すぎる。でもこれは宿命だったのよ、でしょ?

イーチェンはさらに財布の中からキャッシュカードを1枚取り出す。 「出費はすべてここから支払うように。暗証番号はXXXXXX。しっかり覚えたか?」

モーションはうなずいてから、急いで頭を振る。 「お気遣いなく。自分のがあるから」

イーチェンは顔を強張らせて言う。 「結婚初日にこんなことで揉めたくない」

モーションは彼が頑固だと知っているので、しかたなく受け取りはしたが、漠然とした疑問を抱く。

「じゃあ、あなたは?」 彼女はなぜか彼が彼自身を排除している感覚を覚えた。

「俺か?俺は広州へ1週間出張しなきゃならない」 彼は手首を上げて時計を見る。 「1時間後の飛行機だ」

彼女はおそらく世界で最も独立した新妻であろう。

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