2018年11月1日(木)

 

ビルボードライブ東京で「ホセ・ジェイムズ セレブレイツ ビル・ウィザース」(2ndショー)。

 

9月にリリースされたビル・ウィザースのトリビュート盤『リーン・オン・ミー』の実演版(軽くネタバレ含むので今夜観る方はご注意を)。

 

ワタクシ、オープニングアクトでSSWのターリが出ることを知っていながら、てっきり普通に21時半から彼女のライブが始まるものと思い込んでおり……。席に着いたらそれが彼女の最後の曲(の終わりのほう)だった。ざーんねーん。

 

で、ホセ・ジェイムズ。のっけからレコードとはだいぶ異なるアプローチに嬉しい驚き。レコードではオリジナルにけっこう忠実なアレンジで演奏して、ホセも極力素直に歌うよう心がけたと言ってたものだったが、ライブはバンドメンバー(ブラッド・アレン・ウィリアムス/g、大林武史/key、ベン・ウィリアムス/b、ネイト・スミス/ds。ギターのベンさん以外は2月の『ザ・ドリーマー』10周年記念公演と同布陣)の個性をわりと活かした演奏で、ホセは得意の声スクラッチも加えるなどしてオレ流に。つまりレコードのそれよりも自分色を前面に出し、“膨らませた『リーン・オン・ミー』の世界”を立ち現せていた。そこがまず、いい意味で意外だったところ。

 

ショーの組み立てもかつてないもので、中盤でネイト・スミスのドラム・ソロがあり、その間、ホセは衣装替え。明確に前半・後半と色を分けてのステージだった。で、ホセはある曲で歌いながらステージ下りて階段のぼって上の階をまわったりも。サービス精神たっぷり。ビリー・ホリデイのトリビュート・ライブはクールに通したものだったが、ビル・ウィザース楽曲にはこういう開かれた見せ方、一体感の作り方こそが相応しいと考えたのだろう。実際、歌っているホセはこれまでのどのライブよりも気持ちよさそげだった。

 

いやしかし何度観てもかっこいいねぇ、ホセは。公演看板写真は地味だが、ステージの上の彼には華がある。あと、ビルの音楽の魅力を曲の間にわかりやすく説明してたのもよかったです。

 

バンドは言うまでもなく最高で。リズムセクションの凄さがとっても光っていたけど、でも今回のライブのキーマンはギターのブラッド・アレン・ウィリアムスだと僕は思ったな。なに?あの引き出しの広さ。ジャンルとかつくづく無意味なんだろね、あの人。

 

「ヴォーカリストとしてのホセの個性と魅力がこれまで以上に味わえるライブになることは間違いない」とビルボの冊子に僕は書いたけど、本当にそういうライブだったし、なんならそのままライブ盤にしてほしい、ってなことも思ったり(ホセは毎回違うものを見せる人なので、それ、いつも思うことでもあるのだが)。

 

公演、今夜もあります。観ておくべきかと。

 

http://www.billboard-japan.com/special/detail/2487
↑ビルボードライプの冊子用に書いた今回公演の紹介文はこちら。