2017年5月28日(月)

 

渋谷クラブクアトロで、ヴィンテージ・トラブル。

 

土曜日のグリーンルームフェスに続いて、クアトロでの単独公演。グリーンルームの持ち時間が短かった分(というか短く感じられた分)、クアトロはたっぷりやってくれた。時間を計ったわけじゃないけど、これまでで一番長くやってくれたんじゃないだろうか。

 

VTは毎年春か夏に日本に来てくれてるが、2016年の日本ツアー(EXシアターほか)が4月、2017年のビルボードライブも4月、そして今年は5月と、この3年は続けて春公演。今年は桜の時期から少しずれたけど、その分、タイの歌はなく、ナリーのギターで聴かせる形で初っ端にやってくれました、「さくらさくら」。

 

そんなちょっとした部分から、けっこう大きな部分まで、今回の公演はこれまでのものからいろいろと変化が見られて新鮮に感じられるところが多かった。

 

1年前のビルボードライブ公演の段階で、既にいくつかの新味を加えてライブの内容を変えていこうとしているところは見てとれた。鍵盤奏者がサポートで加わったのもその公演からだったし、初めてタイがトロンボーンを吹いたのもその公演だった。そのときの感想として僕はブログに「VTの新章の始まりを感じられたのが何よりよかったところ」と書いたものだ。

 

1年前のあの公演を挿んでいるからそこまで驚きはしなかったけど、もし2016年の公演以来で今回の公演を観たとしたら、きっともっと驚いたことだろう。

 

前半、アップめの曲でひとしきり煽ったら、しばらくミディアムやスローが続き、後半でまた大盛り上がり。そういうざっくりした規則性が2016年までのVTのライブにはあったように思う。が、今回のクアトロ公演は、もっと構成が変化に富んでいて、予測のつかない展開になっていた。「え?  この曲の次にこの曲やるの?」みたいな場面がけっこうあったし、新曲もいくつか挿まれていたので、全体の流れがこれまでとはずいぶん変わったように感じられたのだ。それがまず自分には新鮮だったところ。

 

それからサポート鍵盤奏者のブライアンが去年に比べてすっかりバンドに馴染み、キーボードの音から入る曲もあったりするなど、彼が非常に重要な役割を担うようになっていた(彼のブッカーTっぽい鍵盤音で入る曲も確かあったな)。また、彼だけじゃなく、タイ以外のメンバー3人の演奏の個性も、今回のライブは曲のなかでより際立つ形になっていた(わけてもリックのベースの個性はこれまでで最もわかりやすく出ていた)。それぞれのソロなど単純に見せ場が増えたというのもあるけど、それだけでなく、見え方のバランスとしても全員が同等になっていたというか、ずっとタイひとりに観客の視線が集まる形じゃないようにもっていってるように思えたのだ。よって(見え方としての)バンド感がより強まった。その意味で、一度タイが引っ込んで、鍵盤含む4人だけでジャムっぽく演奏したアレが特によかったし、いろんな効果があったと思う。VTというバンドの音を聴く、音を知ることに集中でき、改めて「かっこいい音を出しやがるぜ」と唸らされたものだった。

 

新曲は何曲やったけ?  覚えてないが、印象として1stアルバムの頃とも2ndアルバムの頃ともちょっと違うというか、そこまでガツガツ攻めてく感じの曲群ではなく、いい意味でもう少し間を持たせたりメロディに変化をつけたりしてるように感じられた。50年代くらいのダンスナンバーっぽい曲が特によかったかな。まだパッと聴きで「これはすげぇ!」と震えるレベルのキラー曲は出てきてないけど、録音物になって聴いたらまた違う印象を受けるかもしれない。

 

そういういくつかの新曲のトーンにも表れてたし、旧曲のアレンジの変え方にも表れてたけど、ライブ全体としても以前のような“がむしゃら感”がやや薄まって、もう少し余裕を持たせつつ楽しませる感じに移り始めてるようにも感じた。それ、特にタイのステージ運びから感じたことで、もしかするとこの前出たばかりのソロ作の内的影響が表れているとこもあるのかも。いや、とはいえ別におとなしいライブになったとかそういうことではまったくなく、グリーンルームでもクアトロでもタイはいつもの通りダイブしてすいすいと客の上を泳いでいたわけですけどね。

 

まあとにかく今回のクアトロで、いまVTがどういう位置に立っているのかが見えた気がした。それ、端的に書くなら、次のステージに移る前の過渡期ということ。3枚目のフルアルバムでズバっと新しい答えを提示するまでにはまだけっこう時間がかかりそうな気はするけど、彼等は模索することも楽しんでいるように見えるし、生粋のライブバンドであるゆえライブを続けながら答えを見つけていくのだろう。これから(USやUKでの活動方向やレーベル環境なども含めて)どう変化していくのか、今回の2公演を観て僕は非常に楽しみになったし、このバンドの長い旅にずっとつきあいたいもんだと改めて思ったのでした。

 

(ひとつだけ苦言。今回グリーンルームもクアトロもタイのマイクのバランスがよくなかった。単純にもっとあげてほしかった。けっこうVTのライブってモニターの返りがよくなさそげだったりとか、そういうアレが多いのが気になる、ってか勿体ない。そのへんちゃんと調整できるスタッフがいるといいんだけどな)