2018年5月25日(金)

 

代々木・Zher the ZOOで、リクオのシリーズ・イベント「HOBO CONNECTION 2018」。ゲストはウルフルケイスケとピーズの大木温之。

 

最高だった。ただただ最高だった。あんなにもロックンロールが幸福に鳴り響いていた空間はそうそうない。あんなにもロックンロールが人を元気づけて嬉しい気持ちにさせてよしオレも頑張ろうとそう思わせてくれる音楽なのだと実感させられたライブはそうそうない。

 

まずはリクオとHOBO HOUSE BANDが開幕に相応しい「僕らのパレード」で始めて4曲(そうだ、このライブも“僕らのパレード”なんだ)。続いて早くも最初のゲスト、ピーズのはるが登場。「サイナラ」に始まり「グライダー」やら「生きのばし」やらのピーズの名曲が、リクオ with HOBO HOUSE BANDの豊かな楽器音で艶やかに膨らみながら演奏されていく。骨しかない自分の曲に肉がついて演奏され、その上で歌えることが気持ちよくてしょうがないといった感じのはるは、めちゃめちゃご機嫌で嬉しそう。ずっとおかしなこと言って笑ってて、思わずといった感じで「ああ、楽しい」とつぶやいたりも。一旦バンドメンバーが引っ込んでリクオとはるのふたりだけでやった永ちゃんの初期ソロナンバー「バーボン人生」がよかった。ああいう曲を歌うはる、妙な色気があんだよなぁ。で、「もうすぐニコニコくんが出てくるから」とはる。

 

はるのコーナーが終わると、続いてニコニコくん=ウルフルケイスケの出番。けーやんは何曲も自分で歌って、気持ちのこもったギターをかっこよくバリバリ弾いて客にどやと言わんばかりにアピールしていた。その歌とギターのノリのよさに、楽屋に引っ込んだはずのはるは舞台袖からときどき少しだけ顔を出してけーやんのMCにいちいちちゃちゃ入れてて(笑)。因みにふたりはえらく仲良しな感じで、どうやら出会って30年なのだとか。

 

そしてリクオさんが「清志郎さんがなんである時期から夢って言葉をあんなに使うようになったのか当時はわからなかったけど、この歳になった今はよくわかる」というようなことを言い(それ、僕もまったくおんなじ。清志郎が夢って言葉を使うようになった頃、めっちゃ違和感があって嫌だなぁって感じてたんだけど、今はよくわかる)、そこからタイトルに夢という言葉が入った曲を3曲続けてけーやんとやったのだけど、これがどれも素晴らしかった。けーやんが、ラップじゃないけどそれくらいの言葉数で思いをリアルに放っていく曲がとりわけ突き刺さった。そのあとリクオさんが歌った「ブルーハーツが聴こえる」は前にもライブで聴いていいなと思ってたけど、昨日はなんか泣きそうになるくらい胸にきた。ブルハとRC。ロックンロール。バッテリーはビンビンだぜ、大人だろ勇気を出せよ。勇気を出せよ。勇気を出せよ。清志郎から引き継いでのリクオのその言葉が胸にズトンズドンと響いた。この曲があってからの、新曲「永遠のロックンロール」なんだなとも思った。

 

で、再びはるもステージに。そういえばバリバリ弾くけーやんに対して、はるが「今夜はスターだね」みたいなこと言ってたけど、そういうはるこそ一挙手一投足が観る者をくぎ付けにさせるもので、ある種の華とチャームがあって、この人こそ根っからのスターだなと僕は思った。

 

アンコールでは、けーやんの誕生日ということでサプライズ的にハッピバースデイトゥユーと歌われケーキが運ばれる。運んできたのは現ソウルフラワーのギター、高木克。で、リクオさんに促されてそのままギターでバンドに参加。リクオさんはけーやんの誕生日を祝いながら、新たな旅立ちにもおめでとう、と。けーやん、めちゃんこ嬉しそう。それにしてもけーやんは今、本当に生き生きしてて、自分のやりたいことを心から夢中になってやってるのだな。ウルフルズ脱退(一時ソロ専念)が発表されたときにツイッターには残念ですとか悲しいといった言葉がたくさん溢れてて、僕はいやそういうトーンじゃないだろ、祝福すべきトーンだろと思ったものだけど、昨夜のライブを観ながら、今まさにけーやんが本領発揮し出してキラキラ輝いてるってことがよーくわかった。ギタリストとしての個性と魅力とリアル感がビンビン伝わってきたのだった。

 

ティーンネイジャーの頃からずっとロックンロールの魔法にかかってる。飽きたことが一度もない。ここにいる全員、たぶんくたばるまでロックンロールをやり続けてる。というようなことを言ってアンコール2曲目にリクオさんはニューシングルの「永遠のロックンロール」を歌ったのだけど、それこそはこの夜のテーマに感じ取れた。本当にロックンロールは魔法なんだと僕は実感した。

 

アンコールの最後はRCの「いい事ばかりはありゃしない」を全員で。チャボのライブやらで今までいろんな人がこれを歌ったのを聴いてきたけど、この夜のはるの「新宿駅のベンチでうとうと~」部分が最高だった。はるほどリアルにこの曲を歌えた人はかつていなかったんじゃないかと思った。清志郎に続いてはるはこの歌をリアルに歌える人だと僕は思った。今でも吉祥寺あたりでゲロ吐いてそうなリアル。

 

そうそう、「永遠のロックンロール」を歌ったあとにリクオさんは清志郎の言葉を借りて「世界中の人に自慢したいよ」と叫んでたけど、僕はもちろん、この会場に居合わせた全員がきっとそう思ったに違いない。(いまこのとき、この場所にいられたことを。そしてロックンロールがずっと好きで今もこんなに好きってことを)世界中の人に自慢したいよ、と。まさに「永遠のロックンロールナイト in TOKYO」。幸せな夜でした。