2018年5月4日(金・祝)
ビルボードライブ東京で、萩原健一(1stショー)。
ちょうど1年前のビルボード公演はまったく出ない中音域を全て裏声に逃げるという極端なもので、正直もうこれで終わりにしてもいいかなという気持ちになったものだが、果たして今回はというと…。
驚いたことにショーケン、ここぞというところ以外はあの裏声歌唱を封印。決して強い出方ではなかったが、それでも中音域もちゃんと地声で歌っていた。もう出ないものと思っていたので、これには驚いた。恐らく相当ボイトレを重ねて出せるようにもっていったのだろう。去年のあれではダメだと自分でも反省し(あるいは信頼できるスタッフのすすめによって)、腹をくくって努力を重ねたのだろう。そこにまず心打たれた。今回は本気なんだと思った。
一新されたバンドもすごくよくて、ショーケンバンドと呼ぶに相応しい、一体となったバンド感があった。そしてショーケンは今回、2000年代に入ってからのライブでもっともブルースハープを多く吹いた。その鳴りがまたよかった。それもけっこうな練習量であることがわかるものだった。
このあとも大阪や横浜などで公演があるから詳しくは書けないが、構成~セットリストもこれまでになく攻めの姿勢に貫かれたもので、オープナーからして「うお~、これきたか~!」と悶絶しそうなものだった(もちろんそんなはずはないけど、今日になって思うと堯之さんへの気持ちも入ってたんじゃないか…なんて。いや、そんなはずはないけども)。
その1曲目に始まり、本編は特に「これはロックのライブなのだ!」というところを強く打ち出したあり方で、そういえば開幕のメンバー登場時にストーンズのラブ・ユー・ライブの熱狂音が流れたものだけど、それはつまりそういうライブを目指したことを示唆してもいたわけだ。
また今回の公演のために録音したという新曲の3曲がその本編の中で見事に機能してもいた。
そしてアンコールの最後、まさかのあの曲(数十年ぶり!)。それを聴いてたらいろんな記憶が走馬灯のようにグルグルとあれこれよみがえってきて、オレ、思わず落涙。
そんなわけで今回のショーケン、1年前のビルボードライブの20倍よかった。はっきり言って去年とは別人のようだった。先頃27~28年ぶりに対面インタビューして軽く痛い目にあったりもしたので自分的に気持ちがモヤモヤしてたんだが、昨日のライブ観てそれもふっとんだ。
連載してるアエラスタイルマガジンの公演紹介文で僕は、「「Time Flies」(光陰矢の如し)と題された今回の公演も矜持を感じさせるものになることだろう」と締めたのだが、まさしく51年目の矜持を感じさせるライブ。正直ちょっと驚きました。ああ、やっぱ嫌いになれないや。
●アエラスタイルマガジン 「唯一無二のロックボーカリスト萩原健一デビュー51年目の矜持と圧倒的な存在感を見せる」https://asm.asahi.com/article/11444420
●ビルボードライブ 萩原健一インタビュー 「新曲は自分にとっての原点回帰」
http://www.billboard-japan.com/special/detail/2309