2018年3月9日(金)

 

モーション・ブルー・ヨコハマで、ナガシマトモコ。

 

一昨年からニューヨークに住んで活動している彼女の一時帰国ライブで、ステージに登場するやいなや観客たちから「おかえり~」の声。彼女も「みなさん、ただいま~。おひさしゅうです。2年もほっつき歩いてたこの不良娘を…(笑)」とファンたちとの久々の再会をとても喜んでいた。

 

ピアノのケイコローズとふたりだけのステージで、シンプルが故にナガシマさんの歌の豊かさが際立っていた。僕は2014年にナガシマさんがNiAの名義で出したソロ作(黒田卓也さんプロデュースによるネオソウル盤)が気に入っていて、正直言うとorange pekoeの曲以上にNiAの曲がたくさん聴けることを期待して観に行ったのだけど、始まったらもうそんなことは関係なくなった。オレペコの曲もNiAの曲も洋楽カバー曲も同じように“ナガシマトモコの歌”になっていて、その全部が胸に響いた。オレペコのお馴染みの曲も以前聴いたときの印象とだいぶ違って聴こえた。もちろん完全にいい意味でだ。

 

今回のツアー用に入念なリハをした感じはなく、恐らく1、2回ちゃちゃっと合わせたぐらいなのだろうけど、親友と言うだけありナガシマさんとケイコさんの息はピッタリで、時に即興も含めながらその場でのやりとりを互いに楽しんでいるようだった。全体の進行もキメキメじゃなく、「じゃあもうちょっとニューヨークの話、しようかな」なんて感じで、その場のノリで運んでいく感じもまたよかった。

 

ナガシマさんの歌声は以前よりも太くなって包容力がグッと増していた。ニューヨークで吸収されたことがいろんなふうに実になってるってことがわかるライブだったけど、とりわけ声の豊かさ、包容力に、それが表れているように僕には感じられた。いやぁ~、本当にいいライブだったなぁ。自分的にはいまこのタイミングでもう一度ナカジマトモコという素晴らしいシンガーと出会い直したような感覚もある。

 

尚、オレペコはというと今年結成20年だそうで、年内中にはふたりで何かやりたい……とのこと。それも楽しみね。

 

こちら、アエラスタイルマガジンに書いた今回公演の紹介文です。
https://asm.asahi.com/article/11320712